ドリーム・アーツは、従業員数1,000名以上の大企業の経営層および役職者1,000名を対象に、DX(デジタルトランスフォーメーション)とデジタル化の取り組みに関するインターネット調査を実施した。
DX、業務のデジタル化に取り組んでいる企業はそれぞれ約6割に(59%、64%)。一方で、自身が働く企業のDXの取り組みについて約3割が(29%)状況はわからないと回答
自身が働く企業のDXの取り組みについて現状を聞いたところ、59%が全社的または部分的に取り組んでいることがわかったという(グラフ①)。また、業務のデジタル化への取り組みについては6割以上が取り組んでいると回答しており、DXより進んでいる企業が多いという結果になっている(グラフ②)。
また、企業におけるDX/業務のデジタル化の取り組みの最重要テーマについては、「デジタル技術を活用したビジネスプロセス改革」と「ペーパーレス化による生産性の向上」が26%、続いて「デジタル技術を活用したビジネスモデル変革」(24%)、「紙とハンコで行っていた承認・申請業務のデジタル化」(20%)となっている(グラフ③)。
ただ、最も多かった回答は「わからない」で29%におよんでおり、会社でDXに取り組んでいることは認識しているものの、具体的な取り組みについては把握していない経営層・役職者が一定程度存在することも明らかになったという。
DXとデジタル化の違いについては7割以上(73%)が説明できないと回答
「DXとデジタル化の違いについて説明できるか」という問いに対しては、「どちらかというと説明できない」「説明できない、わからない」と回答した人が73%にもおよんだ(グラフ④)。職位別にみると、「どちらかというと説明できない」「説明できない」と回答した人の割合が役員クラス(取締役以上)は61%、管理職(部長クラス)だと64%と、中間管理職は80%と、“現場”に近い人ほど違いを説明できない人の割合が高くなっていることが明らかになっている(表①)
また、違いの説明を記述してもらったところ、「デジタル化は業務の効率化を目指すものに対し、DXは変革を目指すもの」というようにDXとデジタル化を完全に区別して考えている回答や、「DXはデジタル化によるビジネス変革をねらう」、「DXの中にデジタル化が含まれる」といった回答のように、デジタル化の延長線上にDXがあり、DXを実現するために、デジタル化は「土台」として必要ととらえている意見も多くあったという。
「自社の経営層は『本気でDXが重要だ』と認識している」と感じている人は約5割(51%)。経営層とマネージャー層には明確な意識の差
「自社の経営層は『本気でDXが重要だ』と認識していると思うか」との質問に対し、重要だと認識している(「そう思う」、「ややそう思う」)との回答は約半数(51%)にのぼり、一定数の大企業で経営層がDXの重要性を理解していることがわかったとしている(グラフ⑤)。
ただその一方で、中間管理職と役員クラスとの間で、「経営層のDXへの本気度」に対する認識に明確な差が見られ、役員クラスが思っているほど中管理職に「経営層の本気度」は伝わっていない現状が見られたという(グラフ⑥)。
「経営層からのDX方針が明確に出ている」と回答した中間管理職はわずか約3割(31%)。職位が下がれば下がるほど方針が伝わっていない傾向
「経営層からのDX方針が明確に出ているか」という問いに「そう思う」と回答した人の割合は、中間管理職は31%と管理職(44.4%)、役員クラス(51.4%)に比べて低い結果となっている(図①)。経営層側は方針を出しているつもりでも、職位が下がれば下がるほど伝わっていない傾向がみられるという。
成果が出ている企業に共通する特徴は「経営層のリーダーシップ」6割以上が同意
既にDXに取り組んでいると回答した人に成果を聞いたところ、成果が出ている(「そう思う」、「ややそう思う」)との回答は半数以上(52%)となった。また、「DXの成果が出ている」と回答した人に自身の会社の状況について聞いたところ、「経営層からのDX方針が明確に出ている」(80%が同意)、「経営層がデジタルの価値をよく理解している」(69%が同意)、「経営層のなかにDXの責任者がいる」(65%が同意)と考えている人の割合が高く、DXの成果が出ている企業では共通して、経営層のリーダーシップが発揮されているという特徴があることがわかったとしている(図②)。
「経営層のリーダーシップ」に同意している人が多かったものの、前述の質問で、中間管理職を含めた現場への浸透度は課題があることが示されており、現場への意識共有における改革も必要であることが明らかになったという。