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脳科学からのDX 「ブレインテック」がビジネスを変える

「Macnica Networks DAY 2021 + macnica.ai」レポート


 マクニカ株式会社のカンファレンス「Macnica Networks DAY 2021 + macnica.ai」 が7月に開催された。16回目を迎える今回は、サイバーセキュリティ、DXを推進するAI活用などをテーマに、多岐にわたるセッションが展開された。本記事では「脳科学を使って新たなDX〜感情や思考をビジネスにどう利用するのか」と題されたマクニカ フィネッセカンパニー 下山剛史氏の講演の内容をレポートする。

脳科学からブレインテックの時代へ

 脳科学は医療用途を中心として、あるいは脳の部位と機能の関連を解明するための研究目的で使われてきた。現在、デバイスがコモディティ化し、ニューロマーケティングとしての商品開発やロボットアームの遠隔操作、リラックス状態を可視化し電極を光らせるなど様々な分野で使われる技術(ブレインテック)として注目されている。

 「ビジネスでの適用が進み、夢のように思えていたブレインテックはきわめて間近にきています」と株式会社マクニカ フィネッセカンパニーの下山剛史氏は語る。世界的なブレインテックの取り組みとしてはイーロン・マスク氏が率いる「Neuralink(ニューラリンク)」が、脳内に埋め込むニューラルチップを開発している。2021年4月の発表ではサルの脳内にチップを埋め込み、思考だけでピンポンのビデオゲームをプレイすることに成功した。また、アメリカのファーストフードチェーンでは新作ピザのプロモーションに脳波を使って、「思念の強さでピザをカットする」という新しいゲームコンテンツを作ったことで大きな話題となった。

 日本でも最近は脳波を活用したビジネスの事例が増え始めている。あるタイヤメーカーは脳波の測定に基づいたストレス値の低いタイヤを開発し、印象的なアピールを行った。自動車メーカーでは、脳の信号を読み取った事故防止の研究に取り組むなど、ブレインテックの波が来ているといえる。

 下山氏によると、脳波計測における主要な技術は5種あり、中でも「NIRS」と「EEG」という手法がビジネスレベルではよく使われているという。NIRSは特殊なキャップをかぶり、受光センサーで脳の血流量の変化を観測する。EEGは脳波測定デバイスを利用して脳の大脳皮質から発する電気信号を周波数で取るというもの。EEGは比較的コンパクトで空間・時間分解能が優れているのでブレインテック業界では一般的なデバイスとなっている。

 EEGで取得できる脳波情報は大脳皮質神経細胞の電気信号のことを指す。脳内のシナプスから出ている電気信号で、周波数で表わすのが一般的だ。日常生活で安静時には10ヘルツ帯のアルファ波という周波数が出ている。興奮するとベータ波という高周波になり、軽い睡眠状態に入るとシータ波という低い周波数になる。

 「こうした特徴を用いて、集中度や興味度あるいは視覚情報や聴覚情報に対して、脳波がどのような反応をするかを測定することができます」。

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企業の課題とブレインテックのアプローチ

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この記事の著者

山本信行(ヤマモトノブユキ)

株式会社Little Wing代表

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