ビジネス環境の変化と顧客体験
現在、大きな変化がビジネス環境に起きているといわれる。その一つがサービス化、サブスクリプション化で、「モノ売りからコト売りへ」の動きであり、もう一つがデジタル化で、最新のテクノロジーによる価値の高いサービス・製品のユーザーへの提供だ。
ビジネス環境の変化は新たなリスクを生み出す。サブスクリプション化における契約期間の短縮がその一つで、これまでは5年間の減価償却をベースに製品が使われたが、サブスクリプションになると1年がベースで、短い場合、月1単位で契約が終了してしまう。契約更新のタイミングが早く頻繁になり、顧客の離反や他社サービスの乗り換えが発生しているという。またテクノロジーが急速に変化、発達し、製品ライフサイクルが短くなれば、相対的に価値が陳腐化してしまうリスクもある。
経産省のアンケート結果でも、こうした環境の変化に対する課題を持っていることが見受けられる。
このようなリスクには、製品の開発サイクルを早めることや新規顧客を獲得するという対策もあるが、既存顧客への継続利用・再契約を図ることやファンになってもらうことに着目し、これらの実現のために重要な顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)、顧客満足度の向上、さらにフレームとしてのカスタマージャーニーという対策が考えられる。
カスタマージャーニーは、自社の製品・サービスを認知してもらい、検討、決定して購入してもらう。製品・サービスを活用してもらい、再契約(Retention)される、そして最終的にAdvocacy(支持)つまりファンになるまでの行程といえる。単に製品を好きになるだけでなく、口コミで高評価をつけることや友人に製品・サービスを紹介する、「ファン化」まで持っていくように顧客の一連の行動、プロセス体験をデザインし、実行していくことが重要になるという。
「既存顧客の再契約(Retention)、支持(Advocacy)に向けたメインのタッチポイントは、アフターサポートです。アフターサポートをいかに向上させるかが今のビジネスの課題を解決するキーになると思います」とマクニカネットワークス株式会社DXビジネス部の佐々木和也氏は語る。