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富士通 柴崎辰彦の「一番わかりやすいDX講義」

デジタル変革(DX)実践のための進め方~4つのステージと推進の勘所

【DXチャレンジ編】第7回

 富士通で初めてのデジタル部門の創設やサービス開発に取り組んで来た著者の実践に基づくDX連載の第七回。著者は、富士通 デジタルビジネス推進室エグゼクティブディレクターの柴崎辰彦氏。シリーズの第一部となる「DXチャレンジ編」では、「なぜデジタル変革なのか?」その勘所をデジタル推進部門やIT部門のみならず、経営者やリーダーも含めた企業の全社員に向けて実践経験を踏まえて紹介します。

デジタル変革(DX)の進め方

 デジタル変革(DX)をいかに進めるかについて筆者の経験を踏まえて考えてみたいと思います。ここ数年で多くの企業が、なぜデジタル変革(DX)が必要かに気づき、何らかの動きを開始しているが、どこに向かうのか、何をすべきなのか、どのように進めればよいかが定まっている企業は非常に少ないと言われています。かつて富士通フォーラムのパネルディスカッションでANAの野村さんたちと議論した「4つのステージ」の考え方が自らの実践でも非常に役に立っているのでご紹介したいと思います。

DX実践の4つのステージ
DX実践の4つのステージ

 デジタル変革(DX)の実践には4つのステージがあると言われています。まず、最初の「啓発・意識づけ」のステージ(Why)は、なぜ、デジタル化を推進しなければならないかわからないといった状態で経営幹部や情報システム部門だけでなく、社員全員への動機付けのフェーズです。

 次に「方向づけ」のステージ(Where)では、デジタル化を推進すべきとの認識を持ちながらもどこを目指すべきかが明確でない状態を指します。まず、自社や自部門でどの領域を対象にするのか明確にする必要があります。

 そして「はじめの一歩」のステージ(What)では、デジタル化推進の方向は定まったが、具体的に何をすればよいかわからないような状態です。ここでのポイントは後述しますが、はじめから大掛かりな計画を立案しないことです。小さなチャレンジから大きな成功に結び付けるスタンスが成功のポイントです。

 最後の「試行錯誤」のステージ(How)は、デジタル化の推進で、何をすべきか定まったが、どのように進めればよいかわからないという状態を意味します。「試行錯誤」のステージ(How)は、デジタルビジネスの特徴であり、"Fail First"に代表されるリーンスタートアップやデザイン思考固有の考え方だと思います。

 日本企業はまだまだ最初の「啓発・意識づけ」のステージ(Why)や「方向づけ」のステージ(Where)が多いようです。なぜ自社が変革を必要としているのか(Why)の議論が熟さないまま、具体的な施策(What)を決めようとしたり、どのような企業像や事業領域を目指すのか(Where)が定まっていないのに、どの手法、どの技術を使うのか(How)ばかりに気をとられていたりする姿をよく目にします。この「Why」「What」「Where」「How」のステップを確実に踏んでいかなければ、後から必ずスキップしたところに戻ってしまいます。これは、実際にデジタルの事業本部を立ち上げた時に実感したことです。

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企業内変革の考え方

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この記事の著者

柴崎 辰彦(シバサキタツヒコ)

香川大学客員教授 富士通株式会社にてネットワーク、マーケティング、システムエンジニア、コンサル等、様々な部門にて“社線変更”を経験。富士通で初めてのデジタル部門の創設やサービス開発に取り組む。CRMビジネスの経験を踏まえ、サービスサイエンスの研究と検証を実践中。コミュニケーション創発サイト「あしたの...

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