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仮想化のメリットとデメリットを見極める

マイクロソフトがWindows Server 2008の標準機能としてハイパーバイザーのHyper-Vの提供を開始したことで、いよいよサーバー仮想化は普及期に突入した。

各社各様の仮想化戦略

 2008年7月、サーバー仮想化製品であるHyper-Vの提供をマイクロソフトが満を持して開始した。これでVMware、Citrix XenServer、そしてHyper-Vと主力なハイパーバイザー製品が勢ぞろいし、いよいよ本格的なサーバー仮想化ソリューションの普及期に突入したと言える。

 サーバー仮想化のプレイヤーは、マイクロソフト、ヴイエムウェア、シトリックスの3社だけではない。この他には、サン・マイクロシステムズやオラクルなどもハイパーバイザーを提供している。さらにNECや日立などの国産ハードウェアベンダーも独自の仮想化ソリューションを展開している。

 現状、サーバー仮想化のメインプレイヤーはマイクロソフト、ヴイエムウェア、シトリックスの3社と言って間違いないだろう。ハイパーバイザーを用いx 86サーバーを仮想化することで、サーバーリソースの有効活用、TCOの削減、システムの俊敏性、可用性の向上などを目的としている。これらの目的は、3社ともほぼ同様だが、サーバーの仮想化で実現できることは似通ってはいるものの、各社の仮想化戦略の方向性はかなり異なっている。

 ヴイエムウェアは、なんと言ってもx 86サーバーの仮想化市場では老舗である。いち早く市場に製品を投入したこともあり、先行利益でいまや数多くの実績がある。当初は、ハイパーバイザーなどの仮想化を行うためのソフトウェアを提供し、そのライセンス費用が同社の収入源となっていたが、いまでは仮想化ソフトウェアの一部を無償で提供している。従来のライセンス費用に代わり、周辺の管理ツールやサポート、コンサルティングサービスがビジネスの中心となっているようだ。

 ご存じのようにヴイエムウェアは、エンタープライズ・ストレージベンダーとして有名なイーエムシーの傘下企業だ。当初イーエムシーとヴイエムウェアは、他のストレージベンダーと仮想化領域で競合することを嫌ったためか、両社が協業してサーバー仮想化のソリューションを推し進めることはあまり行ってこなかった。

 しかしながら、ここ最近は競合各社の台頭もあってか、両社が協業して仮想化のソリューションを展開しつつある。そのため、イーエムシーのエンタープライズ領域における実績ある高可用性ストレージなどを活用し、サーバーの仮想化と組み合わせた災害対策などに力を入れている。今後さらに両社の協業体制は、より強化されるだろう。

 シトリックスは、同社が従来提供してきた製品群をXenというブランドのもとに統一し、仮想化に大きくシフトしている。シトリックスの強みは、従来製品で実績を積んできたWindows環境でのシンクライアントのソリューションとXenSouerceを買収して新たに獲得したサーバー仮想化をうまく融合させているところにある。従来のシンクライアントソリューションの幅を、サーバーの仮想化で大きく広げることに成功しているのだ。

 また、あまり目立たないが、シトリックスと同様にサン・マイクロシステムズもサーバー仮想化とシンクライアントのソリューションを融合させて提供している。

 これ以外には、データベースベンダーのオラクルがハイパーバイザーを無償で提供している。オラクルの場合は、同社のデータベースやアプリケーションサーバーなどと組み合わせることで、より柔軟で効率的なITシステムインフラを提供することで、グリッドコンピューティングを強化することができる。

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ハイパーバイザーだけでなく360度の仮想化ソリューションを展開するマイクロソフト

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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