2000年以降、大きく変貌した企業のアナリティクス環境
2016年にPEファンドのThoma Bravoが買収して以降、Qlikは積極的なM&Aの活用で製品ポートフォリオを拡充させてきた。直近では、年間経常収益が3桁成長と非常に好調に推移しており、再上場も視界に入っている様子だ。その顧客数はグローバルで38,000社を超え、この中には業界リーダーの企業も含まれる。また、サステナビリティやCSRの分野でも積極的に活動しており、国連との世界的な気候変動課題への対応プロジェクトは、長年にわたる両者の良好な関係に支えられたものだ。日本でも日本赤十字社との活動を続けている。
米Qlik本社でCSOを務めるドリュー・クラーク氏は、最近の顧客動向から「データ」「コンピュート」「アナリティクス+IoT」「アプリケーション+SaaS」の4つのメガトレンドが確認できると話す(図1)。
いずれのトレンドも2000年頃から顕著になってきたもので、10年ごとに大きな波ができ、初めはゆっくり、徐々に成長し、縮退する。そして次の新しい波ができる。また、これらのメガトレンドは相互に影響しているのも特徴である。例えば、マイクロサービスがシステムアーキテクチャーに柔軟性をもたらしたこと、あるいはSaaSが普及したことで、新しいアナリティクス用途が生まれている。その代表例が音声データの分析であり、アナリティクスはモバイルエクスペリエンスの質の向上の鍵を握るといった具合だ。
この4つのトレンドはデータの使いやすさにも関係する。どのようにデータを分析し、どんな用途に使うか。企業経営者の「データドリブン経営」への関心は高いが、ほとんどの組織はデータに対して受動的で、データの内容を理解することで精一杯だ。しかし、先進企業ほど、より多くの人が多様なデータを使いこなすことができるよう、データリテラシーを高める取り組みを進めている。データを所有するIT部門と活用するビジネス部門の境界をなくし、より広くより深い分析が可能な体制を整備しなくてはならない。