前回までのおさらい
FinOpsは関連するステークホルダーが相互に協力し、「収益の増加」「顧客満足度の向上」「競合他社に対する優位性の確保」といったビジネス価値を向上させるためのHowがまとまった方法論です。
第2回および第3回では、FinOpsの重要なポイントである下記3点、
- FinOpsチームを組成して組織横断でコラボレーションする
- 組織横断での活動にあたり共通言語化する
- ユニットエコノミクスを意思決定に活用する
について解説をし、第4回から3回にわたって先進的な取り組みをされている3社のCCoEとの対談を通じて、コストマネージメント、FinOpsに関する取り組みや期待などを紹介しました。
最終回では、このFinOpsを実践するためには「どのようなことを、どのようなステップで行うべきか」について解説します。
FinOpsの進め方
FinOpsのライフサイクルは、
- Inform(現状把握)
- Optimize(最適化の計画)
- Operate(実行&運用)
の3フェーズで構成されており、このサイクルを繰り返し実行していきます。
FinOpsでは、各フェーズで具体的に何を実施すべきか定義されていますが、重要なことは最初から完璧を目指すのではなく、まずは初歩的なことからスタートして段階的にレベルを上げていくことです。FinOpsの世界では「Crawl」「Walk」「Run」という考え方があてはまり、まずは「Crawl」のレベルから始めて徐々に「Walk」「Run」へと段階的にステップアップしていくことを推奨しています。
1.「Inform(現状把握)」
最初のフェーズでは、今日までに利用したクラウドの総コストを様々なメッシュで分解し、それぞれのコストを可視化・分析することで、
- コストドライバーを把握する
- 部門やプロダクトなどにショーバック(見せる化)またはチャージバック(課金)する
- 社内や他企業と最適化状況に関するベンチマーク比較を行い、自社の改善点を洗い出す
- ユニットエコノミクスのトレンドを把握し、投資・維持・削減等の判断を実施する
ことなどを行います。
これらの作業の一部は、Excelなどを駆使して手作業でも行うことはできますが、
- 可視化や分析をリアルタイムに行えない
- クラウドの利用量や分解したい切り口の増加にともなって作業工数が右肩上がりになる
などのデメリットがあるためツールを使って自動化し、本来の目的であるビジネス価値の向上や最適化に関する議論、意思決定などに時間を費やしていただくことをお薦めします。