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SIerとパッケージベンダーのケンカで壊れるプロジェクト 回避するためのユーザーの心得

edited by DB Online   2022/02/28 14:00

 システム開発の発注側にあたるユーザーから見て、自分たちにはなんの責任もないのにITベンダー側で勝手にモメて、プロジェクトが壊れてしまうという例があります。中でもよく目にするのは、パッケージソフトウェアを利用するケースでの、体制と役割分担に関する問題。昨今ではSaaSを利用するケースも増えていると思いますが、パッケージの利用も根強い状況です。揉め事にならないようにこの手のケースにおいて、ユーザーはどういった意識をもつべきなのでしょうか。判例を元に解説します。

意外と多い、SIerとパッケージベンダーのモメ事

 ある顧客が自社システムをITベンダー(以下SIer)に発注し相談した結果、パッケージをカスタマイズして使おうとなったとします。SIer自身でもカスタマイズに対応できなくはないですが、やはりパッケージソフトウェア(以下、パッケージ)を作った会社(以下 パッケージベンダー) にお願いしたほうが安心なので、パッケージベンダーの技術者にもプロジェクトに参加してもらうことになったとします。

 こうしたケースでは、パッケージで実現する機能を作るのはパッケージベンダーの役割、それを含めて全体のとりまとめやパッケージ部分以外のモノづくりは、SIerの役割としてプロジェクトが進みます。

 ここでよく起こりやすいのが、SIerとパッケージベンダーが勝手にモメてしまうことです。通常、パッケージベンダーはSIerの下請けとしてプロジェクトに参加することが多く、支払い費用や作業分担がうまくいかないという話はよくある話です。ひどい時には、パッケージベンダーが途中でプロジェクトを抜けてしまい、SIerだけでは何もできずにプロジェクトがストップしてしまうこともあります。

 そこまでの事態にならなくても、ある作業(ある部分のプログラミングやテストなど)について、SIerとパッケージベンダーどちらも手を付けなかったり、技術的な方針が両社で異なった結果、設計不良に陥いりプロジェクトが遅延、もしくはコストオーバーしたりということは意外によくある話です。

 そんな状況で一番迷惑をするのはシステムを発注したユーザーなのですが、技術者同士のケンカに素人のユーザーが割って入ることもできず、壊れていくプロジェクトになんの手を打つこともできない。そんな迷惑千万な事例がパッケージを使った開発では度々見られますし、実際裁判沙汰になるケースもあります。今回はこういったケースでの、SIerとパッケージベンダーの争いについて紹介します。

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著者プロフィール

  • 細川義洋(ホソカワヨシヒロ)

    ITプロセスコンサルタント 東京地方裁判所 民事調停委員 IT専門委員 1964年神奈川県横浜市生まれ。立教大学経済学部経済学科卒。大学を卒業後、日本電気ソフトウェア㈱ (現 NECソリューションイノベータ㈱)にて金融業向け情報システム及びネットワークシステムの開発・運用に従事した後、2005年より2012年まで日本アイ・ビー・エム株式会社にてシステム開発・運用の品質向上を中心にITベンダ及びITユーザ企業に対するプロセス改善コンサルティング業務を行なう。現在は、東京地方裁判所でIT開発に係わる法的紛争の解決を支援する傍ら、それらに関する著述も行なっている。 おもな著書に、『なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』 日本実業出版社、『IT専門調停委員」が教える モメないプロジェクト管理77の鉄則』。

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