意外と多い、SIerとパッケージベンダーのモメ事
ある顧客が自社システムをITベンダー(以下SIer)に発注し相談した結果、パッケージをカスタマイズして使おうとなったとします。SIer自身でもカスタマイズに対応できなくはないですが、やはりパッケージソフトウェア(以下、パッケージ)を作った会社(以下 パッケージベンダー) にお願いしたほうが安心なので、パッケージベンダーの技術者にもプロジェクトに参加してもらうことになったとします。
こうしたケースでは、パッケージで実現する機能を作るのはパッケージベンダーの役割、それを含めて全体のとりまとめやパッケージ部分以外のモノづくりは、SIerの役割としてプロジェクトが進みます。
ここでよく起こりやすいのが、SIerとパッケージベンダーが勝手にモメてしまうことです。通常、パッケージベンダーはSIerの下請けとしてプロジェクトに参加することが多く、支払い費用や作業分担がうまくいかないという話はよくある話です。ひどい時には、パッケージベンダーが途中でプロジェクトを抜けてしまい、SIerだけでは何もできずにプロジェクトがストップしてしまうこともあります。
そこまでの事態にならなくても、ある作業(ある部分のプログラミングやテストなど)について、SIerとパッケージベンダーどちらも手を付けなかったり、技術的な方針が両社で異なった結果、設計不良に陥いりプロジェクトが遅延、もしくはコストオーバーしたりということは意外によくある話です。
そんな状況で一番迷惑をするのはシステムを発注したユーザーなのですが、技術者同士のケンカに素人のユーザーが割って入ることもできず、壊れていくプロジェクトになんの手を打つこともできない。そんな迷惑千万な事例がパッケージを使った開発では度々見られますし、実際裁判沙汰になるケースもあります。今回はこういったケースでの、SIerとパッケージベンダーの争いについて紹介します。