AIの力に未来を感じた
セガのデジタルゲーム事業やアミューズメント機器開発、そして映像制作やトイなどを手がける「エンタテインメントコンテンツ事業」、サミーを中心とした「遊技機事業」、ホテルの開発・運営などの「リゾート事業」など、幅広いエンターテインメントを手がけるセガサミーグループ。国内のグループ企業は30社あり、各社がDXを推進している状況だ。その活動を支えるのが、セガサミーホールディングス ITソリューション本部のIT戦略推進部。グループ各社からITに関する問い合せや要望を受け付けて、伴走しながら課題を解決している。同部署の中でも大中恭之氏が所属するイノベーション推進課では、DX推進に関わる自動化ツールの選定やグループ各社へ展開する際の環境整備、ツールの利用促進のための研修などを行っているという。
「我々は現場の方の手作業を自動化するETLツールやRPAツール、分析やグラフ化のためのBIツールなどを提供し、国内のグループ企業に活用を促しています。また、基幹システムは元セガと元サミーで別のものを使っていますが、従業員情報などはグループ全体のマスターが作られています。DXについては、既に数年前から取り組んでおりましたが、コロナ禍によるリモートワーク推進を背景に、業務効率化のためのデジタルサービス導入のニーズが一層高まり、相談が増えています」(大中氏)
DXの推進は、事業部門だけでなくバックオフィス部門にも波及しており、法務部門では、契約審査の品質向上と効率化を実現するAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」を導入しているという。
法務部門が導入を検討し始めたのが2018年。経営陣から先端技術を導入し、定常業務を省力化してほしいというリクエストがあった。「机に座って契約書づくりに注力していればよいというのではなく、『事業を発展させるような貢献をしてほしい』と経営から期待されるようになったのです。そこで、先端技術について情報収集するためにいろいろな媒体を調べたり、展示会に足を運んだりするうちに、AIで契約書の審査をしてくれるLegalForceの存在を知りました」と語るのは、グループガバナンス本部 ガバナンス戦略室 戦略企画課 課長(※2022年3月取材時の肩書は、法務知的財産本部 法務知財ソリューション部 リーガルオペレーション課 課長)の東郷伸宏氏。
リーガルオペレーション課は、法務部と知的財産部の一部が機能統合して2021年に新設されたセクションであり、社内の申請業務に係る作業を一手に引き受けているという。東郷氏は、リーガルオペレーション課の発足前から法務部門の定常業務を軽減するべく、LegalForceのほか、参考文献をリモート環境から参照できるライブラリや電子契約、翻訳ツールなどを導入していった。
同ツール導入のきっかけについて同氏は「契約書の審査・作成業務は、作業量として一番多い部分です。LegalForceのAIによる自動レビュー機能を見て、未来を感じました。我々はグループのミッションに『感動体験を創造し続ける〜社会をもっと元気に、カラフルに。〜』を掲げていますが、まさにこのサービスは私の期待を超えた“感動体験”だったのです」と振り返る。