注目を集める「オブザーバビリティ」にも対応
もう一つ、コンテナ環境の活用において重要なのが、稼働後のアプリケーションの分析だ。これは「オブザーバビリティ」という言葉で、ここ最近特に注目を集めている領域だ。クラウドネイティブ環境の新しい運用監視の在り方として、オブザーバビリティを備えた「VMware Tanzu Observability」のような監視サービスを用いて、ITインフラが安定して動いているかだけでなく、コンテナで動いているアプリケーションの目的が達成できているかを見ていく。
たとえば、「顧客接点を強化することで顧客満足度を向上させる」という目的を達成するためには、アプリケーションにどのくらいのレスポンスが必要となるのか。その観点でアプリケーションの稼働状況を見て、サービスがどのように使われて、ユーザー体験をどう改善すれば良いのかをチェックしていくのだ。
日立では、このような運用管理を、パブリッククラウドやオンプレミス、ハイブリッドでもマルチクラウドでも対応できるように支援している。「日立ではクラウドネイティブな新しい監視も、既存の監視と組み合わせてトータルに監視できるようにしています。たとえば、『JP1』を既に利用している場合でも、JP1の運用監視は変えずに新しいクラウドネイティブと組み合わせられるようにしています」と説明するのは、株式会社日立製作所 マネージドサービス事業部 クラウドマネージドサービス本部 クラウドプロフェッショナルサービス部 技師の田村賢司氏。基盤監視とアプリケーションの目的に合わせた監視が並行してできるよう日立は提案している。
今後、DXのためにコンテナを活用するようになれば、ITインフラ担当者に求められることはさらに増える。アプリケーション開発者のためにコンテナ環境を提供するだけなく、提供したものを使いこなし、サービス目的を達成するためのサポートまで求められるのだ。その際にアプリケーション開発者とITインフラ担当者でどのように役割分担すべきか、さらにツールを活用することで、どこまで開発自体を楽にできるかなど多様な観点が求められる。
それを現状のITインフラ担当者だけで実践することが難しければ、日立が提供しているサービスを活用して欲しいと加藤氏。さらに日立では、PoCなどでコンテナを気軽に使える環境も用意しており、そこから本番での体制作りや運用ルール作りまで、トータルにサポートできる。実際に、同社には既にそれら一連のコンテナの活用を、自社で実践してきた経験とノウハウがある。「だからこそ、日立は“多様でリアル”なコンテナの活用のニーズに応えられます」と加藤氏は自信をのぞかせる。