欧州がGDPRでプライバシー規制を強化して以降、世界中が個人のプライバシーを保護しつつ、データ活用から得た成果を社会に還元する方法を模索している。日本でも2022年4月から改正個人情報保護法が施行開始となった。本記事では、新個人情報保護法の改正ポイントとSnowflakeが3月23日に行った「データクリーンルーム」の発表の内容を解説する。

(左より)Snowflake株式会社 執行役員セールスエンジニアリング統括本部長 井口和弘氏
Snowflake株式会社 マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャー兼エヴァンジェリスト KT氏
4月から施行開始、新個人情報保護法の改正ポイント
2022年4月から施行開始となった新しい個人情報保護法は、3年ごとの見直し規定に則し、国際動向や技術動向を踏まえた改正内容を反映したものだ。国際動向としては、2018年5月から適用になった欧州のGDPR、2020年1月から施行の米国カリフォルニア州のCCPAがある。背景にある消費者のプライバシー保護を強化する動きに、他国も続々と追随しているところだ。特にわかりやすい例が、サードパーティーCookieの排除である。AppleやGoogleがその廃止の方向性を示したことから、高度なマーケティング施策を展開してきた企業ほど、ターゲティング広告やコンテンツのパーソナライゼーションを行うための代替手段の確立を急がねばならなくなった。
一方で、規制強化一辺倒ではないデータ活用を促すための意図も改正内容に盛り込まれている。AI、機械学習を駆使したデータ分析では、質の高いデータを大量に必要とするものだ。例えば、製薬会社の創薬業務であれば、究極の個人情報とも呼ぶべきゲノム情報を扱うこともある。個人情報だからといって、闇雲に利用を禁止しては、社会が得られるはずの利益が失われてしまう。旧法でもプライバシー保護とデータ活用のバランスを模索する方向にあったが、今回の改正でもその方針が維持された。
個人情報保護委員会は、今回の改正ポイントを以下の8点で説明している。特に、7番の「個人関連情報」と8番の「仮名加工情報」が新法でより明確になった個人情報に該当する。
- 漏えい等報告・本人通知の義務化
- 外国にある第三者への提供
- 保有個人データの開示方法
- 個人データの利用の停止・消去等の請求
- 公表等事項の充実
- 不適正利用の禁止
- 個人関連情報
- 仮名加工情報
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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