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SAPが掲げる「デジタルサプライチェーン」、高まるビジネスネットワークの価値

 日本の基幹産業である製造業を取り巻くビジネス環境は、混迷を増すばかりだ。その要因は、2022年2月に始まったロシアのウクライナへの軍事侵攻だけではない。COVID-19によるロックダウンはもとより、2021年にはスエズ運河の閉鎖、欧州の洪水、半導体不足、ロサンゼルス港の滞留問題、テキサス州の異常寒波、半導体不足など、世界的に大きな問題がこの1年間で次々に発生した。これ以外にも日本特有の問題もあり、影響は製造業以外にも波及している。サプライチェーン計画の観点から、SAPにあるべき仕組みづくりを訊いた。

狭義から広義へ、拡張するエンドツーエンドの範囲の認識

 「サプライチェーンマネジメント」と聞いて、イメージする業務はどんなものだろうか。一般的な理解ではおそらく計画と物流であろう。しかし、SAPが考える「デジタルサプライチェーン」は違う。企業内では、設計、計画、物流、製造とつながり、出荷後の物流、納品後の設備保全、さらにはビジネスネットワークを通して企業間ネットワークともつながるものと、SAPでは捉えている(図1)。

図1:企業内から外へつながるデジタルサプライチェーン 出典:SAPジャパン

図1:企業内から外へつながるデジタルサプライチェーン 出典:SAPジャパン [画像クリックで拡大]

 また、エンドツーエンドの価値を実現するにあたっては、企業内のプロセスだけではなく、商流全体を意識し、仕入れ先から物流、小売、お客様までを含めたプロセスまでを繋ぐべきと、SAPは主張する。つまり、エンドツーエンドのプロセスとは、企業内に閉じたものではないということだ。この考え方に基づき、SAPは「Design to Operate」を掲げて製品拡充を進めている。原氏はこの「Design to Operate」を、顧客への現在の提案内容というよりも、将来のニーズを先取りしたSAP自身の取り組みの全体像と説明する。

 図2は、その一例として、機械装置メーカーにおける業務の流れを示すものである。これは、仕様定義からBOM変換を行うプロセスから始まり、最適化のための需要計画、供給計画、基準計画の策定プロセスへと続く。その後は、半製品を生産するための部材の手配から納入、半製品の加工組み立て、最終製品を組み立て、出庫という流れだ。販売は業種業態によってタイミングが変わるが、この例では顧客から注文を得た段階となっている。そして、出庫のタイミングで輸送計画を立て、納品、顧客指定の場所への設置を行う。設置後は、顧客の利用状況に応じてメンテナンスサービスを提供しなくてはならない。そこで保全計画を立て、適切な時期に実施する。

図2:Design to Operateのビジネスフローの例 出典:SAPジャパン

図2:Design to Operateのビジネスフローの例 出典:SAPジャパン [画像クリックで拡大]

 この一連の業務を滞りなく実現しようとすると、SAP自身が提供する各種製品間のデータ連携が不可欠である。なぜならば、一連のプロセスに変更が発生すると、後ろの計画の実行に影響するためだ。冒頭で述べたような事象は、計画の見直しが必要になる典型例だ。例えば、半導体不足が起き、上流の部材の供給計画に滞りが生じれば、その部材を使う製品の生産計画を見直さなくてはならない。加えて、その先の販売や物流の計画も見直しが必要になる。「業務は単独で存在しているわけではありません。周りの部門やプロセスの前後への目配りが必要です」と原氏は指摘する。だからこそ、計画単体、物流単体にとどまらず、SAPは商流全体を意識して関連製品に必要な機能実装を進めている。

SAPジャパン株式会社 デジタルサプライチェーン グローバルCoE ディレクター 原尚嗣氏
SAPジャパン株式会社 デジタルサプライチェーン グローバルCoE ディレクター 原尚嗣氏

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計画のレジリエンスを高めるために必要な2つの視点

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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