高まるビジネスネットワークの重要性
「さらにSenseに関しては、ビジネスネットワークの重要性が高まっています」と、原氏は続ける。企業内だけでエンドツーエンドのプロセスを可視化しても、完成した製品を出荷し、自社の敷地を出た瞬間に所在がわからなくなるようでは意味がない。注文した部材が届かない場合も担当者のイライラは募る。しかし、ビジネスネットワークにクラウドで繋がっていれば、また状況は変わってくる。ビジネスネットワークは、サプライチェーンを支えるシステムの分断の解消や、企業間のコラボレーションを活性化に役立つ(図4)。
また、ネットワークには、参加者の多いものほど、その中に入るメリットが大きくなる特徴がある。仮に業界全体のプレイヤーが3,000社いるのに、1,000社しかネットワークに参加していなければ、そこそこの改善効果しか得られない。わかりやすい効果の1つが、個別の問合せの手間が減ることだ。例えば、配送業務には確認、依頼、調整が付き物だが、途中でトラブルが発生しても、物流ネットワークを使えば、1対1の問合せに頼らず、問題を迅速に解決できる。
そのサポートのためにSAPが進める取り組みが、ネットワーク同士をつなぐ「Network of Network」の構築である。国内物流ネットワークの例では、HacobuのネットワークとSAP Logistics Business Networksが接続している。欧州ではproject44、米国ではUber Freightと繋がっているので、企業がSAP Logistics Business Networksに接続すれば、国境を越えたモノの動きの全体像を把握できることになる。