SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

直近開催のイベントはこちら!

EnterpriseZine編集部ではイベントを随時開催しております

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine Press

ワークマン/ベイシア/カインズ: それぞれのバリューチェーン差異と「はりねずみ経営」とは?

「ガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット 2022」


 1958年に群馬県伊勢崎市で創業した「いせや」は、ベイシア、カインズ、ワークマンなどの物販チェーン7社を中心に29社で構成する1兆円規模のリテーラー「ベイシアグループ」に成長した。創業から60年以上を経た今、グループ各社の個性を生かしDXを実践しているところだ。「ガートナー アプリケーション・イノベーション&ビジネス・ソリューション サミット 2022」に登壇したベイシアグループ総研 執行役員 IT統括本部長 樋口正也氏は、「ベイシアグループのはりねずみ経営とDX ~現状から将来への展望とビジョンへ」と題した講演を行った。

ベイシアグループの「はりねずみ経営」とは?

ベイシアグループWebより引用

 国内流通業で売上高1兆円を超えるのはベイシアグループを含めて7社。成長を支えたのが「はりねずみ経営」である。通常は持株会社がグループ会社を支える構図だが、ベイシアグループは違う。持株会社が縁の下の力の持ち的にグループ会社を支える。グループ会社は「はりねずみ」のように、自分たちの強みを発揮する“尖った”存在であり続ける。とは言え、それぞれが個性を発揮しても、個社では限界があることもある。その場合は持株会社がサポートするが、標準化を名目に指導を押し付けるわけではない。

 2021年7月からグループに参画したCDO/CIOの樋口氏が、DXの実践で利用しているのが、バリューチェーンのフレームワークである。一般に、小売業のバリューチェーンは商品企画、開発、製造、物流、マーケティング、販売へとつながっている。同じ小売の業態だからといって、グループ個社のバリューチェーンは同じではない。細かく見ると、それぞれ少しずつ異なる。わかりやすいのがワークマン、ベイシア、カインズの業態の違いである。生活の「衣食住」で分けると、「衣」をワークマン、「食」をベイシア、「住」をカインズが受け持つ。

 物流であれば、ベイシアは冷蔵品や冷凍品での輸配送が必要になるのに対し、ワークマンやカインズは常温品しか扱わない。求められるスピード感も異なる。食品を扱うベイシアでは、晩ご飯どきに商品が揃っていなければならない。衣料品やDIY用品とは商品ニーズも異なる。そうなると、需要予測のやり方も同じにはできない。バリューチェーンにおける変革ポイントは、個社それぞれで変える必要がある。

  とは言え、グループ全体でやるべき共通部分はある。その代表例がデータ活用だ。グループ各社がそれぞれに顧客と接していたとしても、同一人物を別々に扱うようでは体験価値が損なわれる。また、ポイント還元をするにも、個社単位では施策が分散してしまう。イオングループや楽天のように、金融事業をグループ内に抱える競合も存在する。だからこそ、ベイシアグループは、データ活用以外でも、働き方改革、ペーパーレス、グループ共通基盤のように、個社でやるべき部分とグループ横断でやるべき部分を切り分けてDXに取り組んでいる。

次のページ
バリューチェーンがDXのフレームワーク

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
EnterpriseZine Press連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/16258 2022/07/06 08:49

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング