データストレージ製品・サービスを提供するピュア・ストレージのCEO チャールズ・ジャンカルロ氏が同社のイベントにあわせて来日し、8月25日に会見を行った。2023年度の第1四半期の決算状況、ストレージ市場の動向や「アズ・ア・サービス」化による製品戦略、サステナビリティ経営のための対応などを語った。
ストレージ市場を上回る成長
ピュア・ストレージ(以下、ピュア社)は2022年度においては、21.8億ドルの売上で数年間売上成長を続けている。今期2023年度の第1四半期においては6億2,000万ドルの売上で、対前年度50%増、非GAAPベースの営業利益は8,500万ドルを達成し、非常に好調な業績を切った。
業績が好調な理由について、ジャンカルロ氏はハイブリッド・クラウド・アーキテクチャに基づくフラッシュ型のストレージ製品、サブスクリプションの売上が好調に推移していることなどをあげた。
また今期のトピックとして、2020年に買収したコンテナ/Kubernetes対応のデータサービスを提供する「Portworx Data Services」やクラウド型ストレージサービス「Pure Fusion」の提供も開始したこと、製品のエネルギー使用量や廃棄物の削減への取り組みを、ESGレポートを公開していることなども紹介した。
続いてジャンカルロ氏は、ストレージの競合他社が過去8年間、売上が下降気味であることに対し、ピュア社の売上が伸長していることをグラフで示し、その優位性は「ビジネスモデルの継続的イノベーション」によるものだと言う。
ピュア社の製品サービスの体系は、ストレージを一旦サブスクリプションで購入した後に拡張していくタイプの「Evergreen//Forever」、HW購入型の「Evergreen//Flex」、使用量課金(アズ・ア・サービス)型の「Evergreen//One」からなり、ユーザー企業は、自社に最適なIT投資が可能だ。
また、「Infrastructure as Code」(コードとしてのインフラストラクチャ)という考え方に基づいた自律型ストレージによって、瞬時の変化に対応するプロビジョニングやスケーラビリティも特長となる。「こうした条件がIT部門の開発者に受け入れられた」とジャンカルロ氏は言う。
また「Evergreen」というブランドの意味するものは、環境適応やサステナビリティ経営への貢献であることを語った。ストレージの高密度化、高エネルギー効率や高熱効率設計、モジュール式コンポーネントなどの技術が、消費電力や電子廃棄物の削減に結びついていることも強調した。
日本法人は成長市場にフォーカス
日本法人であるピュア・ストレージ・ジャパン 代表取締役社長の田中良幸氏も「市場全体が17.1%のマイナスの中で、前年比50.8%の成長を遂げている」ことに胸を張る。またNPR(ネットプロモータースコア)も高く推移しており、顧客からの信頼を得ていることも強調した。またピュア社のストレージ製品が企業のクラウド化を加速するものではあるが、現実的にはクラウドとオンプレミスのハイブリッド・アーキテクチャであることの重要性も指摘する。
「オンプレミスかクラウドのどちらかという話はもう必要ない。どこに置かれていても、すべてを包括することが企業や組織の真のデータストレージのあり方だ」(田中社長)
日本法人としては、成長市場であるパブリックセクター・政府機関やサービスプロバイダ、金融・保険サービス、製造などの分野に今後注力していくという。
会見後、同社の年次イベント「Pure//Accelerate Japan」が開催された。ジャンカルロ CEOによる基調講演のほか、NTTデータ、群馬大学医学部附属病院 、JOCDN、トビラシステムズ、北海道新聞社などによる事例発表も行われた。