ERPと業務システムの「ライフサイクル」に対する考え方を進化させる
過去に基幹システムの導入、アドオン開発などに関わった経験がある人の中には「ERPパッケージの開発は、独自の言語や開発環境のスキルが不可欠で、かつ大規模になりがち。ユーザーにとっては、コスト面の負担が大きく、時間もかかる」というイメージがあるかもしれない。そのイメージは、あながち間違いではない。
実際、ERPパッケージに直接手を入れるような形でのカスタマイズには、専門のスキルが必要なケースがほとんどだ。事前に、導入パートナーと綿密に仕様を打ち合わせ、開発を依頼する必要がある。特に日本でERPパッケージが普及し始めた当初には、導入時に、自社の業務にパッケージ側を適合させるためのカスタマイズ、アドオン開発を大量に行う企業も多く見受けられた。その結果、柔軟性が失われ、硬直化してしまった基幹システムを、運用でカバーしながら十数年の長期にわたって使い続けることになったケースも少なくない。
カスタマイズが多ければ多いほど、パッチ適用やバージョンアップで影響を受ける範囲は広くなり、事前の確認や事後の修正に時間とコストがかかる。基幹システムがビジネスの根幹に関わるものである以上、障害による停止は許されない。すると、ユーザーにとって恩恵があるようなパッチ適用やアップデートであっても、実施には必要以上に慎重にならざるを得ない。