メドトロニックと日立ソリューションズ、日立ソリューションズ・クリエイトの三社は、Mixed Reality(複合現実、以下、MR)技術を活用し、手術室看護師の器械出し方法の習得を支援するトレーニングツール「HoloMe(呼称:ホロミー)」を開発したと発表した。
「HoloMe」は、マイクロソフト社のMRデバイス「 Microsoft HoloLens 2 (以下、HoloLens 2)」を利用し、熟練看護師の目線の動きを現実の空間上に表示し録画することで、その録画データを非熟練看護師が視聴し学習できるトレーニングツールだ。
これにより非熟練看護師は、医療機器の複雑な組み立て方法や操作、手術の手順に合わせた的確な器械出しの方法を、熟練看護師の映像と比較することで効率的に学ぶことができるという。
本技術開発の背景としては、手術に使用される医療機器にはさまざまな構成部品があり、かつ使用方法が特殊なことから。手術室で「器械出し」業務を行う看護師は的確かつ素早い組み立てと操作が求められている。そのため医療機器の使用方法を熟知し、器械を差し出すタイミングも的確でなければならないとのこと。
そのため「器械出し」業務の習得状況は熟練者と非熟練者で大きく差があり、熟練者は手術中、先の手順を見越して目配りをしている。もっとも、この目線を外見から追うことは難しく、熟練者が業務外の時間などで、非熟練者にきめ細やかに指導する必要があり、業務負荷の低減が課題となっている。
そこでメドトロニックは、日立ソリューションズ、日立ソリューションズ・クリエイトと協業し、医療機器の使用方法とタイミングを熟知した器械出し看護師の目線の動きをMR技術を活用して空間上に可視化することで、医療機器をより適切かつ安全に利用できるトレーニングツールの開発に至ったとしている。
今後3社は、マイクロソフト社の「 Dynamics 365 Guides 」、「 Dynamics 365 Remote Assist 」などのアプリケーションをベースに、医療機器マニュアルの3D化や、遠隔支援の仕組みも開発する予定とのことだ。
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