1日あたり約6億件を捌く「Y-SOC」立役者の塩﨑哲夫氏が語る、横河電機のIT×OTセキュリティ
日本、シンガポール、欧州、中東……グローバル規模でのSOCの効果とは

現在、さまざまな業種の企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる。しかし、製造業などOT(Operational Technology)システムを持つ企業では、ITとの統合においてセキュリティ上の懸念があるだろう。2023年3月にEnterpriseZine編集部が主催した「Security Online Day 2023 春の陣」にて、横河デジタル ITインフラサービス事業部 副事業部長である塩﨑哲夫氏が登壇。「グローバル規模での『IT×OT』セキュリティ体制構築の鍵とは──横河電機によるDXを止めないセキュリティ」と題して、セキュリティ監視センター(SOC)の効果と展開について探った。
IT/OTセキュリティは「DX」の重要な要素
横河電機は1915(大正5)年に設立され、現在は工業計器・プロセス制御メーカーとしてグローバルに展開している。そして横河デジタルは、製造業を中心としたDXのコンサルティングから、クラウドやセキュリティをはじめとしたトータルソリューションを提供する会社として、2022年7月に設立されたばかりだ。
同社では、2018年に中期経営戦略の中核としてDXを据えると、デジタル技術の活用による成長機会の創出と成長基盤の確立に取り組むことを表明した。従来の製造業から、OT/ITが統合された世界水準のソリューション・サービスカンパニーに変革するとしている。

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まずは、社内でDXを活用して生産性向上や働き方改革を推進する「Internal DX」を実現。これをショールームとして、ノウハウを反映した外販サービスを提供する「External DX」を行っていく。
DXの成熟度は“データ統合の成熟度”だとして、
- デジタライゼーション(オペレーション集約化)
- DX(自動化)
- IA2IA(Industrial Automation to Industrial Autonomy:自動化から自律化)/SOS(System of System)
の3つのステップを設定。現在はステップ1から2へ移行するところだという。
そして、DXとともに推進している取り組みが「デジタルファクトリー」である。従来、工場ごとに管理されていたデータをエッジコンピュータ経由で吸い上げ、ISA-95(製造オペレーション管理〔MOM〕のリファレンスモデル)に準拠した“OTデータレイク”を構築することで、生産の平準化や予兆保全、目視検査の自動化などの可視化を実現してきたという。現在では、各工場をグローバルで統合したOTデータレイクを構築し、ERPと結び付けてリアルタイムオペレーションの可視化、納期回答の短縮化、SCMの最適化などを進めている。
なお、DX実現に向けたIT中期方針として下図の通り、「グローバル最適化」「デジタル化/サービス化」「セキュリティ強化」「IT Transformation」の4つを挙げている。塩崎氏が特に注力する「セキュリティ強化」においては、大きく7つのタスクに取り組んでいる最中だ。

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吉澤 亨史(ヨシザワ コウジ)
元自動車整備士。整備工場やガソリンスタンド所長などを経て、1996年にフリーランスライターとして独立。以後、雑誌やWebを中心に執筆活動を行う。パソコン、周辺機器、ソフトウェア、携帯電話、セキュリティ、エンタープライズ系など幅広い分野に対応。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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