RedshiftからSnowflakeへの移行ツールを開発 OSSとして公開も
Snowflakeへの移行プロセスは6〜7ヵ月ほど、事前の緻密なトライアルの成果もあって順調に移行できたという。実は、この移行においてREVISIOでは、RedshiftからSnowflakeへの移行ツールを開発し、オープンソースで公開している。「実際に移行してみると想定以上に多くのナレッジを得ていることを感じました。実際にRedshiftからSnowflakeへの移行に悩む声も多く聞こえていたため、移行で得たナレッジを社会に還元し、業界全体の発展に貢献したいという思いが強くなったのです」と片岡氏。特定の人たちだけが情報を独占していてはいけないと「競争領域であっても可能な限り情報を共有し、業界全体を盛り上げていくのが当社の方針です。特にSnowflakeの活用によって、多くの人々がデータを容易に利用できるようになれば、“データ提供カンパニー”としてのREVISIOの価値も高まるなど良い連鎖が生まれます」と森下氏は強調する。
なお、実際にSnowflakeへ移行した結果、前述した速度・安定性・コストという3つの課題が劇的に改善されたという。以前は日次のバッチ処理によってデータ提供ができない時間帯もあったが、今ではそのような事態も起こらなくなっている。
「これまでエンジニアは、データ基盤が不安定な状態になった際の調整に多くの時間を費やしていましたが、その必要がなくなり、より価値のある作業に時間を割くことができるようになりました。コスト面においても約4割の削減が達成されており、他の事業投資などにリソースを振り分けられるようになっています」(森下氏)
顧客の期待に応えていく、そのためにSnowflakeを深く活用する
こうした取り組みの成果が2023年の「Data Driver of the Year」受賞につながった。受賞について郡谷氏は「データカンパニーとして、データへの愚直なアプローチを続けている。その姿勢が評価されたことは非常に嬉しいですし、感謝しています。過去の受賞企業であるNTTドコモさんやサイバーエージェントさんに続く形で受賞でき、感慨深いですね」と語る。受賞を機に、データカンパニーとしての取り組みを加速させていくとして、Snowflakeのより深い活用も視野に入れているという。
実際に、片岡氏が管掌するエンジニアチームではSnowflakeが買収した「Streamlit」、新機能である「External Network Access」「Snowflake connector for MySQL」などもプレビュー段階から検証してサービスに取り入れる動きを見せている。また、同社では将来的に「Snowflakeマーケットプレイス」によるデータ共有も予定しているとして、郡谷氏はREVISIOの展望を次のように描く。
「私たちはデータがどれほどの価値を持つか、その価値を感じるお客様にどれだけ効果的に届けられるかを重要視しています。そのため、今後は多くのお客様によりビジネス価値を創出でき、事業をスケールさせられるデータを提供していくだけでなく、その活用環境も重要になってくると考えています。その際、Snowflakeの活用はもちろん、より深く協同していきたいですね」