SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

EnterpriseZineニュース

IBM、日本語版の「watsonx.ai」Graniteモデルをリリースへ 企業内での活用をサポート

 2023年9月20日、日本IBMは「IBM watsonx」に係わる記者説明会を開催した。

 2023年5月にIBM watsonxが発表されていることを踏まえ、同社 常務執行役員 テクノロジー事業本部長 村田将輝氏は「オープンかつクラウドネイティブな技術を活用していき、『信頼できる学習データ』を利用していくことは企業利用において重要だ」と切り出すと、下図を示してAIに対する“4つの信念”を説明。watsonxの発表以降、ユーザーと議論を重ねていく中では、オンプレミス上でAIモデルを稼働させるニーズもグローバルを含めて多く聞いているという。

[画像クリックで拡大]

 なお、IBM watsonxは「watsonx.ai」「watsonx.data」「watsonx.governance」という3つのコンポーネントで構成。Red Hat OpenShiftが基盤として利用されており、ハイブリッド環境にも対応していけるとする。

日本IBM 常務執行役員 テクノロジー事業本部長 村田将輝氏
日本IBM 常務執行役員 テクノロジー事業本部長 村田将輝氏

 また、市場を俯瞰したとき、構築済みのAIサービスを製品に組み込んでいくアプローチをはじめ、構築済みのAIサービスに追加学習させたり、基盤モデルを利用して独自のAIサービスを構築したりと、いくつかの手法が見られる中でwatson.aiでは「スレート(Slate)モデル」「グラナイト(Granite)モデル」「サンドストーン(SandStone)モデル」という独自基盤モデルを利用できる他、「GPT-NeoX」などのオープンソース基盤モデルや「Llama 2-Chat」などの他社製基盤モデルの利用も可能だという。村田氏は「IBMの独自AI基盤モデルのGraniteにおいて、日本語版を2023年12月に先行リリースして2024年第1四半期には正式リリースする」と発表した。

[画像クリックで拡大]

 Graniteではコンテンツ生成や翻訳といった“生成系タスク”をカバーしていく中で、チューニングの際にも大規模な環境を必要とせず、他社の大型モデルにと比べて効率的だと日本IBM テクノロジー事業本部 Data and AI エバンジェリスト 田中孝氏は話す。

日本IBM テクノロジー事業本部 Data and AI エバンジェリスト 田中孝氏
日本IBM テクノロジー事業本部 Data and AI エバンジェリスト 田中孝氏

 また、IBM独自基盤モデルはビジネス用途に特化しており「Graniteを構築する上で法務や財務といったデータをインターネット上から収集し、倫理基準に基づいて学習データの取捨選択を行っている。『HAPディテクター』により攻撃的な学習データを取り除いており、出力の質を担保するためにフィルタリングにも注力している点が特長だ」と田中氏。watsonx.governanceの2023年後半での提供開始に先立って技術プレビューの提供を開始予定だとするとダッシュボードイメージを提示。リスクに対するアクションについても提案できるようにしていく予定だと説明する。

[画像クリックで拡大]

 今後は自然言語やコーディング以外の用途にも拡充していくとして、既に地理空間基盤モデルのオープンソース提供を発表するなど「特化したユースケースにおいて高い効果を発揮していく」と強調。無償評価プログラムを用いた共創も進めていくとしてIBMフェロー 兼 日本IBM 執行役員 IBMコンサルティング事業本部 CTO 二上哲也氏にバトンを渡す。

IBMフェロー 兼 日本IBM 執行役員 IBMコンサルティング事業本部 CTO 二上哲也氏
IBMフェロー 兼 日本IBM 執行役員 IBMコンサルティング事業本部 CTO 二上哲也氏

 二上氏は、IT部門において“IT変革”のためにもAIを利用してほしいとして、プロダクト開発ライフサイクルにおけるAI活用の例を提示。たとえば、「watson Code Assistant」と「Ansible Lightspeed」による基幹システム向けのコード生成、「Code Assistant for Z」によるメインフレーム上でのCOBOLリファクタリングの他、テスト自動化などシステム更改やモダナイゼーションにおいても利用できると話す。

[画像クリックで拡大]

 また、同社では「AITOS(Automated IT Operation Service utilizing AI)」や「IBM BlueBuddy」などのIT運用に係わるサービスを提供。基幹システムのためのコード生成AIの活用に関しては、下図を示しながら日本語の仕様書からコード生成を行えるとする。また、IBM BlueBuddyでは、3Dモデルのデジタルヒューマンがチャットボットに代わり回答をくれるといい、インシデント発生時には概要を要約してくれたり、過去の対応実績から最適な担当者を推薦してくれたりするという。二上氏は「システム更改やモダナイゼーション、IT運用において従来より30%の生産性向上を目指していく」と述べる。

「IBM BlueBuddy」による、チケット管理における解決策提案の様子
[画像クリックで拡大]

 2023年5月のwatsonx発表時には具体的な方向性が提示できていなかった中、ユーザーとの議論を重ねていくことでパブリッククラウドやオンプレミス、エッジにおいて活用できる点に注力していくとあらためて触れると、村田氏は「企業の競争力をいかに高めていくのか、最適なAIモデルによる継続的な学習を進めていきたい。前挙した4つの信念に従って進めていく」と締めくくった。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
この記事の著者

岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)

1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/news/detail/18446 2023/09/20 18:35

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング