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酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

コロナ禍を経て『ANA’s Magic』が進化。牽引するリーダーのデザイン思考が生み出す“ワクワク”

第16回:全日本空輸 デジタル変革室 イノベーション推進部 サービスイノベーションチーム リーダー 森山綾子さん

 2019年には「攻めのIT経営銘柄」でDXグランプリを獲得するなど、国内のDXを先導してきた全日本空輸(以下、ANA)。コロナ禍で旅客需要は一時大幅に減少したが、2022年度決算ではついに3年ぶりの黒字化を果たした。その背景には、航空だけに頼らないビジネスモデルの変革や新たな顧客体験の創出を含む、大規模な事業構造改革があった。小学生2人の母でもある、同社 デジタル変革室 イノベーション推進部 サービスイノベーションチーム リーダーの森山綾子さんに聞いた。

「ANA’s Magic」を支えるCX基盤

酒井真弓(以下、酒井):コロナ禍で停滞していた航空の需要が、一気に盛り上がってきましたね。

森山綾子(以下、森山):ここ数年、厳しい事業環境ではありましたが、成長回帰に向けて一丸となって取り組んできました。私たちデジタル変革室は、デジタルやデータを活用し、これまで以上にパワーアップした顧客体験(以下、CX)をお届けしていきたいです。

 その要となるのが、2018年に構築した、顧客情報や運航情報をリアルタイムに連携するデジタルプラットフォーム「CX基盤」です。これにより、各部門がバラバラに保有していた情報を全社横断でタイムリーに活用できるようになりました。

 2021年には、CX基盤の顧客情報をもとに、お客さまの引き継ぎ情報を一元管理する「CXポータル」を開発。きめ細やかな接客ができるようになりました。たとえば、予約センターで「新婚旅行で……」と伺った係員がCXポータルに入力すれば、ラウンジや客室など次の顧客接点の担当者に伝達できるようになっています。空港および機内の職員は、iPadでそれらを確認しています。

酒井:肩から掛けているiPadは何に使っているんだろうと気になっていました。CXポータルの情報を見ていたんですね。

森山:そうなんです。CXポータルの情報をどう接客に活かすかは、係員のその場の判断と創意工夫に任されています。「ANA’s Magic」と言って、お客さまに感動してもらえるようなおもてなしを、全社を挙げて推奨しているのです。ANAの一番の強みは“人”です。私たちは、その助けになるような仕組みを整備しています。

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全日本空輸 デジタル変革室 イノベーション推進部 サービスイノベーションチーム リーダー 森山綾子さん

アジャイル開発で顧客ニーズに即応

森山:2022年5月には、新サービスモデル 「ANA Smart Travel」をスタートしました。蓄積されたお客さまの情報を活かし、一人ひとりにパーソナライズした情報やサービスを提供することで、スムーズな旅をサポートします。

 具体的には、ANAアプリがお客さまに次の行動をご案内します。たとえば、搭乗まで24時間を切るとスマホに通知が来て、ANAアプリでチェックインが済ませられるようになっているんです。

酒井:こうしたサービスは、どのような体制で開発されているのですか?

森山:ANAでは、ANAアプリなど、以前からアジャイル開発に取り組んでいます。私たちデジタル変革室に加え、マーケティング部門、オペレーション部門などがワンチームとなって、お客さまの役に立つと思う機能をどんどんリリースし、データやお客さまの反応を検証してアプリの改善・進化を図っています。「ANA DIGITAL HANGAR」といって、格納庫(ハンガー)で整備士の皆さんが一つになって一機の飛行機をチームワークで飛ばしていくように、多様な知見を持つメンバーが協力して次の手を打っていく──そんな体制を構築しています。

 一つの機能を企画してリリースするまでは大体2~3ヵ月です。デザイン思考をベースに、お客さまインタビューを重ねてインサイトを深掘りし、モックアップを作って見ていただいて、意見を聞きなら直していきます。リリース後も、改善すべき点を見つけたらどんどん変えています。

酒井:ユーザーインタビューから生まれた機能やサービスもあるのですか?

森山:あります! 代表的なのが、2021年7月にリリースした「旅のしおり」です。航空券の予約情報に、行ってみたい観光スポットや飲食店などの情報を追加し、自分らしいオリジナルの旅程が作れるサービスです。修学旅行のしおりみたいなものですね。作成したしおりを一緒に行く家族や友人に共有したり、SNSにアップして「ここに行ったよ」と発信している方もいます。旅の前や旅の間はもちろん、旅が終わってからも、ワクワクした気持ちが続くようなサービスを目指しています。

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異国の地で鍛えた、デザイン思考の体験

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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