SmartHRでは正社員だけでも毎月30人近くが入社しています。その新入社員を受け入れる「オンボーディング」は情シスだけでなく、各部門の受け入れ担当者が関わり、入社前から入社直後、そしてその先にも続くものです。SmartHRでは、中途入社の社員が1日も早く専門性を100%発揮するために、オンボーディングを「即戦力を即戦力にするプロジェクト」と捉えています。本稿では、その成功のために当社が実践していることを紹介します。
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受け入れ部門との連携、継続的なサポートで自律駆動を支援
まずは入社前の受け入れ準備から見ていきましょう。業務で使う端末のキッティングは面倒な作業の一つ。できるだけ業務効率化したいものです。通常、手作業でキッティングする場合、必要な設定項目にも左右されますが、最低でも1台あたり約30分はかかるでしょう。主にMacを使用している当社では、デバイス管理ツールの「Jamf Pro」を活用した「ゼロタッチキッティング」という仕組みを用いて自動化しています。
キッティング内容とオンボーディングの要件次第では、情シスが箱から端末を出すことなく、新入社員自らが進めることも可能となります。情シスでの作業がある場合も、作業者の対応としては端末の起動とネットワーク接続、終了時の確認や梱包だけで済み、アプリケーションのインストールなどは自動化。そのため、キッティングにかかっていた時間を削減できています。
また、業務で利用するクラウドサービスのアカウント発行や権限付与には、Oktaを採用し、業務を簡素化しています。具体的にOktaを起点として、連携サービスのアカウントや権限を作成し、設定できるプロビジョニングという仕組みを活用。キッティング自動化と同様にサービスごとにアカウント発行する手間を減らしています。さらに、シングルサインオンにより、利用者はサービスごとのIDやパスワード管理といった煩わしさから解放されますし、情シスにとってはパスワードリセットなどの業務を減らすことができています。
入社前の準備ではキッティングのほかにも、職種や配属ごとに必要となるものが異なります。そのため、新入社員に関する情報を集約し、受け入れ部門間で情報連携することが重要です。当社では、横断的な情報連携のための受け入れ専用のSlackチャンネルがあります。そこで受け入れタスクを共有し、担当者間での連携を効率化しています。担当者が変わった場合でも対応できるよう、ナレッジとして蓄積しています。
入社後には、業務で必要となる端末やサービスのオリエンテーションをハンズオン形式で実施。セキュリティについては規程類を前提としながら、「業務効率、スピードを落とさない、セキュリティレベルも下げない」を基本方針に、普段の業務で意識するポイントから、具体的なセキュリティ対策の説明や設定までを一通り行います。
オリエンテーション後もIT関連のサポートは継続して行います。当社では、内製開発したシステムを利用してヘルプデスク対応も効率化しています。具体的には、Slackにインストールされた内製アプリからフォームを立ち上げて問い合わせると、チケット管理システムに連携され、ヘルプデスクの担当者を自動割り振りし、Slackの専用チャンネルにて、質問者と担当者をメンションして問い合わせ内容が自動投稿されるという仕組みです。合わせてチケットの状態確認などをして、運用側の負担軽減も行っています。
投稿内容はほぼすべての社員が閲覧可能な状態にしています。研修や制度に関する情報、利用サービスの説明や操作マニュアルといったヘルプデスクによく届く質問は、ストック情報としてすぐに参照できる状態です。新入社員が見つけやすいことはもちろん、既存社員も自身が直面している課題を自律的に解決できるようにしています。また、ヘルプデスク担当者が過去の類似の問い合わせを参考するときにも役立っています。