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過去最悪の被害となったサイバー犯罪……茨城県警は組織拡大とIPAなど外部機関との連携で根絶目指す

【前編】選抜職員を対象とした1年におよぶ基礎研修もスタートし、組織の底上げ図る

 深刻化するサイバー犯罪。その被害額も年々増加傾向にある。警察庁が公開した「令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、2023年のインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害額は約87億3000万円、発生件数は5,578件と、いずれも過去最多となった。なにも警察も黙って手をこまねいているわけではない。高度な専門知識を持ったサイバー捜査官をはじめとする人材の育成、専門家や民間企業との連携でサイバー犯罪対策を強化している。茨城県警もその一つだ。茨城県警本部 生活安全部 サイバー企画課長の山下和宏氏に取り組みを聞いた。

県内のサイバー犯罪件数は過去最悪 茨城県警が組織体制を強化

 2023年、茨城県内におけるサイバー犯罪の発生件数は90件、被害額は約1億2700万円と、ともに過去最悪を更新し、記録的な一年となった。こうした事態に対応すべく、茨城県警は2024年4月に「サイバー捜査課」と「サイバー企画課」を新設。2課体制に拡充し対策を強化している。

 サイバー捜査課は、他部署と連携してサイバー空間の捜査を支援するのが主な役割だ。高度な技術と知識を持った捜査員が、サイバー空間に残る証拠の収集や分析、デジタルフォレンジックなどのアプローチで犯人検挙に尽力する。一方のサイバー企画課は、サイバー犯罪対策の戦略立案に加え、県民への啓発や被害相談、県警内の人材育成などを担う。2課合わせて約50人体制で、サイバー犯罪撲滅に立ち向かっている。

 そもそもサイバー犯罪捜査とは、どのように行われるのだろうか。サイバー捜査官は主にサイバー空間を“パトロールする”という。インターネット上の掲示板やSNSなどを監視して犯罪に関する情報を見つけ出したら、それらを抑止する活動をする。深刻な社会問題となっている特殊詐欺に関しては、闇バイト募集のような怪しい書き込みを見つけ次第、注意喚起を行う。事件化すれば、捜査部門と連携して、専門知識を駆使して捜査を支援する。

 新たなサイバー犯罪の拡大を防ぐため、事業者側にも警鐘を鳴らす。たとえば、インターネットバンキングの不正送金の新たな事案があれば、金融事業者にその手口を明らかにし、同じ被害に遭わないよう対策を促すという。

 最終的なゴールは検挙だが、これが最大の難関だ。サイバー空間では簡単に匿名性を確保できてしまう。海外のサーバーを経由して犯行を企てたり、他人になりすましたりすることも容易だ。こうした事情から、真犯人の特定が難しく、捜査は長期化することも珍しくないそうだ。

 「近年のサイバー犯罪は組織犯罪の傾向が強く、一人捕まえても終わりではありません。必ずと言っていいほど上位被疑者がいます。上位被疑者を検挙し、組織を潰す。これを常に意識しています」(山下氏)

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茨城県警本部 生活安全部 サイバー企画課長 山下和宏氏

 万が一、企業がサイバー犯罪の被害に遭ってしまったら、どのように対処すればいいのだろうか。理想は、適切なインシデント対応を進めると同時に、警察にサイバー犯罪の情報を集約し、犯人検挙や新たな犯罪の抑止に生かせるようにすることだという。だが現状は、警察に通報・相談する企業はそう多くはない。

 山下氏は「サイバー犯罪の被害が潜在化してしまうと、警察はその実態を把握できず、適切な対処が難しくなります。サイバー犯罪被害が発生した場合は、警察に通報をお願いします」と呼び掛ける。サイバー空間の治安維持は、私たち全員が協力してこそ、成り立つものなのかもしれない。

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

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