デル・テクノロジーズは9月25日、企業ユーザーがAIソリューションの実践や検証をできる施設「Solution Center AI Innovation Lab(以下、AI Innovation Lab)」を、大手町本社に開設。同日、開所式が行われた。
同施設の開設の背景と狙いをデル・テクノロジーズ 代表取締役社長の大塚俊彦氏が説明した。大塚氏はまず、同社がグローバルを対象に実施した生成AIの実装段階調査結果から、「ほとんどの企業が生成AI実装の初期段階にあり、これから本格実装を迎える段階である」と指摘。日本企業のCxOを対象にした調査結果からも、生成AIへの期待の高さや生成AIを活用したイノベーション志向が高い傾向にあると話した。こうした企業のニーズに対して「より早く、より実践的に、より経済的に、より安全に実現していくために、デル・テクノロジーズ全体で『Dell AI Factory』という構想を掲げている」と続ける。
大塚氏によると、Dell AI Factoryとは「AIによる付加価値を生産する工場」がコンセプトにあるという。構成要素は「ユースケースによる成果」「データ」「エキスパートAIサービス」「AIエコシステム」「AIに最適化されたインフラストラクチャー」の5つ。中でも、グローバルに拠点をもつ同社は、全世界に顧客を抱えており、世界中のユースケースを蓄積していると強調した。データについて大塚氏は「データが発生する場所のほとんどがオンプレミスもしくはエッジに所在している。我々の基本的な考え方は、データのある場所にAIの機能を寄せていくというもの。あらゆるところでデータ活用の検証をしている」と話す。
これらのDell AI Factoryの構想を取り入れて、AIのイノベーションを促進するべく、AI Innovation Labの開設に至ったという。東京拠点は、グローバルにあるInnovation Labで5拠点目となるが、初めてAIに特化した施設となる。同施設の特長として大塚氏は、「実証」「共創」「教育」の3つの柱から構成されると話す。「実証」では、世界中の拠点からユースケースを産業別に集め、目的に応じた事例の紹介、実証実験、デモを行うことができるという。加えて、既に提供中のビジネスマッチングプログラムや中堅企業向けDXプログラムなど、パートナー企業との「共創」も欠かせないと説く。これらの取り組みを支える人材の学びを促進する「教育」も合わせて提供するという。
大塚氏は最後に「5拠点のInnovation Lab同士が連携して、知識の共有を行うことで、グローバルの見識を日本のお客様に提供していきたい。日本発で世界に発信できるようAI Innovation Labを充実していきたい」と話した。
AI Innovation Labの開設について、野村総合研究所 常務執行役員 IT基盤サービス担当 大元成和氏は「デル・テクノロジーズ様が提供するITインフラと、NRIが開発するAIソリューションを組み合わせ、豊かな未来社会の創発を加速していきます」とコメントを寄せた。
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