ガートナージャパン(以下、Gartner)は、デジタル人材育成の実情に関する調査結果を発表した。
同社では、非IT部門の社員に対するテクノロジー教育を実施している国内企業・公的機関で、企画・実施を担うIT部門/DX部門のマネジメント層を対象とした調査を実施。
同調査から、全社的なデジタル人材育成に3年以上取り組んでいる企業でも、「業務向上・事業戦略の推進に貢献している」「実業務でスキルを発揮している」などの具体的な成果を実現している割合は24%にとどまることが明らかになった。
また、同調査では、成果を得ている企業と得られていない企業の取り組みを比較し、成果の実現度に影響を及ぼす4つの要因を抽出。詳細は以下のとおり。
- 事業部門の関与が強いほど実成果を獲得しやすい:デジタル人材育成に対し、事業部門の関与度が高いほど何らかの成果を獲得しやすいとわかった。事業部門の関与を促すには、小さくとも早期に成果を生み出すことが、人材育成の必要性を認識させるきっかけになるとしている
- 実践的な教育手法を採用すると実成果を獲得しやすい:デジタル人材育成で採用している教育手法に、「仮想テーマにチームで取り組むケーススタディ型研修」「自社の実際の課題に取り組むプロジェクト型研修」などの実践的なものが含まれていると、習得した知識/スキルを自ら実践して定着度を高める機会となる。CIOは、デジタル人材育成のリーダーに、知識/スキルの習得から現場でそれを発揮するまでの橋渡しとなる、段階的なプログラムを立案させるべきだという
- スキル活用機会が用意されているか否かで実成果に差が出る:非IT部門社員が習得したデジタル・スキルの活用を奨励する支援策がある企業は、支援策がない企業と比べて4倍近く高い割合で成果を出している(支援策がある:26%、支援策がない:7%)。特に影響が大きいものは「デジタル・スキルの習得、活用を人事評価の目標に組み入れている」「社内副業制度がある」などの支援策
- 評価指標が経営視点に近づくほど実成果を獲得しやすい:同調査では、人材育成の成果の評価指標を「人材育成活動の指標」「削減時間や開発アプリ数などの直接の成果指標」「売上増や新技術/特許の取得などの経営・事業レベルの成果指標」「定めていない」の4つのタイプに区分し、成果実現の段階別に指標の利用率を比較。その結果、成果を出していない企業は指標を定めていない割合が最も高い一方で、成果を出している企業ほど、多様な指標を定めているとともに経営・事業レベルの成果指標を定めている割合が高いとわかった
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