Azure AI Foundry、AIアプリケーション開発のためのツールスイートに
続いて、「AIアプリケーションプラットフォーム」レイヤーの発表の目玉になったのが、「Azure AI Foundry」である。あらゆるアプリケーションがAIアプリケーションになりつつある中、設計から、開発、デプロイ、運用までの方法を見直す必要が出てきた。Azure AI Foundryは、開発者、AIエンジニア、AIおよびITプロフェッショナルを対象に提供するもので、AIアプリケーションおよびAIエージェントの構築から運用までに必要な機能を揃えている。
まず、Model Catalogの中に1,800以上のモデルを用意し、最適なモデルを選択できるようにした。このカタログの中には、OpenAIの基盤モデルの他、Cohere、Meta、Mistral AIなど、プロバイダー提供のモデルからオープンソースのモデルまで、多くのモデルがある。ナデラ氏は、「特定のモデル1つだけを使うアプリケーションはない。実際、マイクロソフトのアプリケーション製品でも、最適化、ファインチューニング、蒸留された何千ものモデルが動いている」と述べた。また、Bayer、 Paige、Rockwell、Siemens、Sight Machinesなどが提供する、20以上のインダストリー特化型のモデルもカタログに加わっている。
さらに、モデルの選択肢増加に伴い、Azure AI Foundryではモデルの実験機能を追加した。この機能は最適なモデルを選択するためのツールへのニーズに応えるもので、複数のモデルの動作を試し、結果を比較し、最適なモデルを選択できるようにした。また、Gretle Labs、Scale AI、StatsSig、Weights & Biasesとのコラボレーションで、「モデルの追跡、評価、最適化に取り組むAIエンジニアにとって、Azure AI Foundryが包括的なツールスイートになる」と、ナデラ氏は強調した。
AIエージェント構築のために提供されるツール群
Azure AI Agent Service
AIエージェントの構築のためのツール「Azure AI Agent Service」もAzure AI Foundryで提供する。Azure AI Agent Serviceは、ビジネスプロセス自動化のためのAIエージェントの構築から、デプロイ、スケーリングまでを支援するものになる。前回の記事で、Copilot Studioを利用することで、数回のクリックでビジネスユーザーがエージェントを立ち上げることができると説明した。Copilot Studioとは異なり、Azure AI Agent Serviceは、コードファーストのアプローチを好む開発者向けの機能を備えたものになる。
AIエージェントの構築で、開発者はデータの所在を気にする必要はない。Webサイトのデータ、Microsoft 365のデータ、SharePointのデータ、Microsoft FabricsのOneLakeに集約したデータにアクセスするAIエージェントを構築できる。AIエージェントが自律的に行動できるようにするには、Azure Logic Appsのコネクターを用いる。Azure Logic Appsは、コンテナ化されたランタイム環境に構築されたiPaaSであり、1,200以上のコネクターを用意している。そのコネクターを用いることで、AIエージェントはアプリケーションに接続し、アクションを実行できるようになる。また、将来のマルチエージェント時代の到来に備えて、Azure AI Agent ServiceはMagenticOne、Autogen、Semantic Kernelのようなマルチエージェントフレームワークをサポートし、AIエージェントを構築できるようにした。
AIアプリケーションでも、AIエージェントでも、デプロイしてからの運用が本番だ。運用フェーズからは、各アプリケーションのコスト、パフォーマンス、セキュリティ、ガバナンスなどをモニタリングしなくてはならない。Azure AI Foundryでは、開発のための機能だけでなく、運用時に必要な機能も提供することにした。その中には、AIアプリケーションとモデルガバナンスのためのAIレポーティング機能がある。これはアプリケーションの評価結果を共有することに役立つ。運用フェーズで組織が最も重視するセキュリティでは、Prompt Shieldのように、不適切な入力を分析し、攻撃を阻止する機能をAzure AI Foundryから提供する。また、画像コンテンツのリスク評価と、安全性評価の機能も新しく提供する。