KDDIは1月21日、製品やサービスに通信を一体化させる新たなビジネスモデル「ConnectIN」を発表した。
同日開催された新サービス発表会では、KDDI 執行役員常務 ビジネス事業本部 副事業本部長 那谷雅敏氏が詳細を説明。今回発表したConnectINは、同社が2024年に新たなビジネスプラットフォームとして発表している「WAKONX(ワコンクロス)」の一環であるとした。WAKONXは、通信を製品にも広げ、生活を豊かにしていくことを目指すもので、3つのレイヤー「Vertical」「Data」「Network」を軸に取り組みを進めているとして下図を提示。ConnectINは、このうちのNetwork Layerにおける取り組みだという。
ConnectINは、eSIMを活用することで製品やサービスに通信を一体化させるもの。eSIMについて那谷氏は「従来は物理的なSIMを挿入することで通信を確保する製品が主流だったが、スマートフォンを中心にeSIMの導入が進んできた。さらに昨今、クラウドとエッジの両面でAIが進化していることから、それらをつなぐ通信の役割がより重要になってきている」と話す。
ConnectINに対応する製品の特長は「通信料金を製品購入企業やエンドユーザーに請求しないモデル」だという。これまでメーカー企業が担っていた通信の手配/管理/運用やシステム開発などをKDDIが負担し、メーカー企業は販売台数に応じたレベニューシェア方式で対応する。これにより、メーカー企業は初期投資ゼロで通信が一体化された製品を提供できるとした。
一方、メーカー企業から製品を購入するエンドユーザーは、通信が組み込まれた製品を購入することで、これまで別途行う必要があった通信の契約が不要となる。これにより「これまで以上に付加価値の高い製品をエンドユーザーに届けられる」と那谷氏。
ConnectINの代表的な採用例として那谷氏は法人PCを挙げた。KDDIは2023年11月に、PCに対する通信回線の組み込みに関する協業を日本HPと開始しており、2024年度にはDynabook、VAIO、Lenovo、パナソニック コネクトなどでConnectINの採用が決まっているとした。
続いて、ConnectINを採用するPCメーカーとしてDynabook 常務執行役員 国内PC事業本部長 渋谷正彦氏が登壇。Dynabookにおいて、ConnectINを採用した法人向けMVNOサービス「dynabook eSIM Startin'」を提供開始すると発表した。渋谷氏は同製品のメリットについて以下の4つを示す。
- PC購入費とデータ通信費の一本化によるコストのスリム化/明確化
- 常時安定接続によるクラウド活用の促進でPC運用管理の効率がアップ
- 運用管理の簡素化
- いつでもどこでも快適な通信環境により、業務の生産性が向上
なお、dynabook eSIM Startin'サービスでは、データ通信が4年間無制限で利用可能。Dynabookが提供するプレミアムモバイルノートPC「X83 CHANGER」モデルから提供が開始されるという。
最後に那谷氏は「KDDIは、PCメーカーが提供するセルラーモデルすべてにおいて、ConnectINが採用されることを目標としている。これにより、シェア8割を目指していきたい」と今後の計画を示し、発表会を締めくくった。