オフショアリングは失敗するものという印象をお持ちの方も決して少なくないはず。海外拠点での開発による真のメリットを享受するために、日本企業が克服すべき壁を探ります。
コストダウンへの過度の期待
前回は、グローバルソーシングとオフショアリングの違いについてお話ししましたが、どちらも開発場所が海外である点では変わりありません。そこで今回は、グローバルソーシングを成功に導くために、従来のオフショアリングの問題点について明確にしておきたいと思います。
企業の経営者ならずとも、「オフショアリング」という言葉から「コストダウン」を連想する人は多いと思います。「中国のエンジニアの給与は日本の何分の1だ」とか、「中国やインドは人件費が高くなってきたので、次はベトナムがいいかもしれない」という話を見聞きする機会が増えました。

オフショアリングにコストダウンの期待が含まれるのは当然のことです。しかし、特に経営者に対してその言葉の影響力が強すぎるために、コストダウン以上の価値があることが見過ごされているように思います。そして、コストダウン以外の目的が十分検討されないため、その期待ほどその効果が得られなかったときに、撤退という結論に至ってしまうのです。
オフショアリングが失敗する理由とその対策
オフショアリング開発の中には、現在も順調に継続している例はありますが、全体から見ると成功した例は少なく、一度は試してみたもののうまくいかずに撤退したという話をよく耳にします。
オフショアリングの失敗の理由は様々で、複合的な要因が重なっているケースが多いのですが、分類してみると以下のような理由があるようです。
- プロジェクト管理の問題
- 仕様に対する理解度のギャップ
- 品質の期待に対するギャップ
- 失敗のリスク管理
- 短期的成果への期待
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竹内 克志(タケウチ カツシ)
リアルコム株式会社 取締役 執行役員CTO(最高技術責任者)日本DECにて8年間アプリケーションエンジニア/プロジェクトリーダーとして勤めた後、インフォミックス日本の立ち上げに参画、日本語化の責任者を務めた。1994年、ロータス・ディベロップメント(日本)に入社。その後Lotus Developme...
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