塩野義製薬と日立製作所(以下、日立)は、データや生成AIなどを活用した革新的な医薬品・ヘルスケア業界向けサービス創出に向けて、業務提携に関する基本合意書を締結した。
同提携は、両社が他の企業との連携によるオープンイノベーションで、実証を通じて創出する新たなDXサービスを、幅広い医薬品・ヘルスケア業界の企業向けに提供していくことを目指しているという。
具体的には、両社のデジタル技術とドメインナレッジを融合して、「医薬品・ヘルスケア業界におけるマスターデータマネジメントの高度化と普及」「生成AIを活用した医薬品・ヘルスケア企業の業務効率化」「ヘルスデータを活用した健康経営やサステナブル経営を支援するサービスの開発」に取り組むとしている。提携に基づき、2025年度中に一部のサービスの提供開始を目指すとのことだ。
提携における主要テーマは以下のとおり。
医薬品・ヘルスケア業界におけるマスターデータマネジメント(MDM)の高度化と普及
医薬品・ヘルスケア業界では、社内の各部門間でデータが分散、サイロ化、複雑化しており、効率的なデータ活用の障壁となるといった課題が見られるという。
そこで、日立のマスターデータモデリングやマスターデータエンジニアリングの技術、マスターデータガバナンスの経験と、塩野義製薬のデータベースの設計思想、アルゴリズム構築力やデータ解析技術、ドメインナレッジを融合させた革新的なMDMシステムを構築し、実証するとしている。
また、両社はその構築により得たノウハウを、医薬品・ヘルスケア業界全体に普及させることを目指すと述べている。
生成AIを活用した医薬品・ヘルスケア企業の業務効率化
生成AI技術を活用した、医薬品・ヘルスケア企業における業務効率化ソリューションを検討するという。具体的には、日立の「Hitachi Digital Solution for Pharma」のソリューション群をはじめとする、創薬バリューチェーンにおける業務プロセスの効率化や精度向上に向けたAI技術・ノウハウと、塩野義製薬のドメインナレッジや人工知能解析プログラマシステムの開発・事業化経験・ノウハウを組み合わせることで、文書作成や業務プロセスを自動化。製品開発のスピードや運用効率を向上させる仕組みを構築するとのことだ。
これにより、製品開発期間を短縮し、より早く確実に医薬品を患者に届けることに貢献するという。
ヘルスデータを活用した健康経営やサステナブル経営を支援するサービスの開発
日立グループのPHR事業の基盤やナレッジ、塩野義製薬のPHRをはじめとするヘルスデータの標準化や活用ノウハウ、アルゴリズムなどといった保有知財などのアセットを組み合わせたPHRプラットフォームや、企業向け健康経営ソリューションなどにより、企業の健康経営を支援。労働生産性を向上する新たなヘルスケア、ヘルスアップサービスを開発するという。特に、職場でのメンタルヘルス対策や従業員のモチベーション向上の支援に注力するとのことだ。
また、PHRを活用して従業員個人の健康データを統合的に管理・活用することで、従業員の健康促進や職場環境の改善を実現し、サステナブルな経営モデルを確立することにより、まずは国内でのサービス展開を目指すとしている。
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