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グローバルIT基盤をAWSに統合したサントリー、“変革の土台”を活かして次期基幹システムの構想始まる

新しい取り組みも続々!プレミアム商品でブロックチェーン技術を活用した証明書発行も

あえて“一番重い”日本のシステムからリフト&シフト

 では、サントリーがどのようにクラウドへのリフト&シフトを実現していったのか、そのスタート段階まで戻って振り返ってみよう。AWSへの移行検討を始めたのは2016年頃のことだ。

 「世界各国のグループ企業が共通で利用するITインフラを考えると、クラウドしか選択肢はないだろうと考えていました。実際に社内の小規模プロジェクトでAWSを利用する検証作業も行いました。グローバルのグループ企業が利用するため、選択肢はハイパースケーラーのクラウドとなります。各クラウド事業者のサービスを比較、検討した結果、大きなサービス機能差はほとんどないというのが正直な感想でした。ただ、その中で、オープンになっている技術情報やAWS活用事例が他のものよりも圧倒的に多いのがAWSでしたね」(小山氏)

 AWSを採用した小規模なアジャイル開発プロジェクトが成功したことは、社内に少なからぬ影響を及ぼした。本格的に採用するクラウドインフラとしてAWS選択を勧める声が高まったのだ。

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サントリーシステムテクノロジー株式会社 システム品質部 部長 齋藤陽氏

 AWSへの移行が決定すると、最初に移行に取り組んだのは日本国内のシステムだった。もちろん、サントリーグループの中で一番規模が大きなシステムは本社のある日本で動くものだ。では、なぜ最初に一番規模の大きなシステム移行に取り組んだのだろうか?

 「一番規模の大きなシステムを持つ日本が移行に成功すれば、その後のアジア、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパの拠点が迷いなく追随してくるだろうという見込みがありました。小さなものからスタートするのではなく、あえて一番重いシステムからスタートする選択をしました」(小山氏)

 実際にシステム移行を行うにあたっては、最初にプロジェクトを引っ張っていくメンバーはAWSが提供している研修を受け、仕組みやアーキテクチャをきちんと理解することから始めた。最終的には全員が研修によって基礎を理解している状況を作っていった。

 「数年前に私も研修を受講し、AWSの特長や特性を理解しました。この経験は実際の移行作業を始める際にとても頼りになりました」と齋藤氏は振り返る。小山氏は「以前にBtoCキャンペーンシステムをAWSで新規構築した経験が役立ちました。自分で手を動かした経験があるか、ないかは実際に移行を進める際には大きな力となりました」と話す。経験が大きな武器となっているという。

 日本で利用していたシステムは、他国に比べ規模は大きかったものの、それほど特殊なシステムではなかったため、移行作業は順調に進んだという。

 AWSならではのメリットを感じた部分も多数あるそうだ。

 「クラウドへ移行するメリットは運用業務の極小化です。すごく小さなところですが、たとえばAWSの自動証明書の自動更新機能です。従来は、サーバーが100台あったら毎回、100個の証明書を更新しなければなりませんでした。それがAWSの機能を使うことで自動更新されるのがとにかく楽なんです。また、Amazon RDSとかデータベースもチューニングしなくても良いですし、ワンクリックでデータベースのバージョンアップ対応できることが、本当に楽です」(小山氏)

 その後、日本から始まったAWSへのリフト&シフトは各国で行われたが、日本で蓄積した知見、ノウハウを活用することでトントン拍子に進んでいったという。

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APIでつながる「次期基幹システム」の構想が進行中

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この記事の著者

三浦 優子(ミウラ ユウコ)

日本大学芸術学部映画学科卒業後、2年間同校に勤務。1990年、コンピュータ・ニュース社(現・BCN)に記者として勤務。2003年、同社を退社し、フリーランスライターに。IT系Web媒体等で取材、執筆活動を行なっている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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