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『EnterpriseZine Press』

2024年秋号(EnterpriseZine Press 2024 Autumn)特集「生成AI時代に考える“真のDX人材育成”──『スキル策定』『実践』2つの観点で紐解く」

酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記(AD)

パーソル/資生堂/日テレの生成AI推進リーダーと探る、導入しただけで終わらせない“成果を出す共通項”

番外編:「Enterprise IT Women's Forum」レポート(後編)

 ChatGPTの登場で大きな転換点を迎えた生成AI。企業では導入フェーズから活用・発展へとステージが変わりつつある。1月31日に開催された「Enterprise IT Women's Forum」の特別講演では、先駆的に生成AIの活用を進めてきた企業のリーダーたちが、成果と課題を語り合った。登壇したのは、パーソルホールディングス グループデジタル変革推進本部 本部長 朝比奈ゆり子氏、資生堂インタラクティブビューティー IT本部 デジタルイノベーション部 部長 櫻井佳子氏、日本テレビホールディングス 経営戦略局 経営戦略部 兼 R&Dラボ 主任 辻理奈氏。現場のリアルな経験から、生成AI活用の今とこれからが見えてきた。

パーソルHD:2,000人以上が参加するコミュニティとの「共創」

酒井真弓(以下、酒井):まずは、自社での生成AI活用状況を教えてください。

朝比奈ゆり子(以下、朝比奈):パーソルグループは、転職サービス「doda」や人材派遣の「テンプスタッフ」など多くの人材サービスを提供しています。国内38社、海外にも多数の拠点を持ち、私はグループ全体のデジタル施策を担当しています。

 生成AI活用の現状についてお話しすると、2024年11月時点で、国内グループ社員1万8000人以上が社内版GPT「PERSOL Chat Assistant」を活用しています。事業での生成AIの活用も進めており、dodaでは生成AIによる職務経歴書の作成支援、テンプスタッフでは派遣先担当者から派遣スタッフへのフィードバックコメントの作成支援に活用するなど、多様なニーズに応えています。

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パーソルホールディングス株式会社 グループデジタル変革推進本部 本部長 朝比奈ゆり子氏

 なぜここまで盛り上がったのか。その成功要因は「共創」をテーマに推進してきたことが理由にあると思います。2,000人以上の社員が参加する生成AIコミュニティを立ち上げ、ワイワイ情報共有できる場を作りました。また、多くの企業が「定型的なプロンプトの配布」か「完全なフリー化」のどちらにするかで悩むと聞いているのですが、私たちは自由に使って、良いプロンプトができたら共有する方針で、ポチッとするだけで社内共有できる仕組みを作りました。

 2023年11月からはPERSOL Chat Assistantの愛称を「CHASSU(ちゃっす)」とし、アシスタントを連想させるアシカのキャラクターで親しみやすさを醸成。さらに活用が広がりました。

 私たちはいわゆるJTC(伝統的な日本企業)ですが、若手を中心とした推進チームを結成し、楽しみながら学び合う文化を築くことで、これまでのITプロジェクトでは考えられないほど、自発的な動きがあらゆる所で始まっています。生成AI活用の成否を分かつのは、テクノロジー以上に組織文化にあると実感しています。

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資生堂IB:1週間かかっていた翻訳業務が1日に短縮

櫻井佳子(以下、櫻井):私は資生堂の社内DXを推進する部門を担当しています。資生堂では商品開発やマーケティング領域で様々な生成AIプロジェクトが進行していますが、IT部門として私たちが特に注力しているのは、全社員による生成AI活用を通じた生産性向上です。これにより業務効率化とコスト削減を実現し、競争力を強化する狙いです。

 2023年夏、自社環境でAzure OpenAIを使用したAIサービスを構築・リリースし、全社で活用を開始しました。しかし、「プロンプトの書き方が分からない」という声が多く寄せられたため、2024年2月には、議事録要約などよくあるシーンに応じたプロンプトのテンプレート集を備えた改良版AIサービスをリリース。国内約1万人の社員が利用可能で、2024年内には少なくとも2割の社員にアクティブに使ってもらうことを目標に、多角的な普及施策を展開してきました。

 当初の想定では、1割の社員はサポートがなくても積極的に活用し、1~2割はサポートがあってもかなり消極的だろうと。重要なのは、残り7割の社員にどう働きかけ使ってもらうかです。そこで2024年4月から、月1ペースで全社員向け勉強会を開催し、各部門の業務特性に応じた相談会も開催しています。さらに、社内カフェテリアの一角に「AI相談コーナー」を設け、気軽に質問できる場を作りました。9月からは社内ポータルサイトに特集コーナーを設置。役員自ら活用事例を発信したり、ヘビーユーザーの使用方法を共有したりする記事を配信しています。さらに、社員同士の情報交換を促進するため、Microsoft Teams上にコミュニティを立ち上げました。これらの施策が功を奏し、2024年末時点で当初の目標を上回る全社活用率は3割弱を達成しました。

 社内の好事例の中から一つ紹介させてください。海外とのやり取りが多い部門のある社員は、翻訳業務にAIを活用することで、1週間かかっていた作業が1日に短縮され、コストも低減されました。さらに、海外とのメールのコミュニケーションや課題解決のアイデア出しにもAIを積極的に活用しています。AIを活用することで一人では思いつかないような第三者視点の提案が得られ、意思決定の質の向上にもつながっているという声は多いです。

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日本テレビHD:利益創出を目標に“自社AIエージェント”を開発

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

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