様々なNewSQL製品のなかで「TiDB」がもつユニークさ
NewSQLには、「Google Cloud Spanner」をはじめとして、「YugabyteDB」「CockroachDB」などのスタートアップのほか、AWSもDSQLを発表し、Oracleも23aiよりRaftによるレプリケーションをサポートするなど、ビッグベンダーも参入するホットな分野となっている。その中でTiDBはどのような点に特色があるだろうか。
1. MySQL互換
多くのNewSQL製品がPostgreSQL互換を謳うなか、MySQL互換なのはTiDBのみである。MySQLはWebサービスを中心に広く利用される人気の高いDBMSである。そのため、アプリケーションから見るとMySQLと変わらない使い勝手で扱えるTiDBは利便性が高く、マイグレーションも容易である。
2. データベースの統合による運用負荷の低減
マイクロサービスなどによって散在したデータストアを統合して運用負荷を低減することができる。リソース制御機能はTiDBの優れた機能であり、マルチテナントの収容というユースケースはユニークな長所となっている(第2回で詳述する)。
3. 豊富な選択肢と充実したサポート
NewSQLの中には、SpannerのようにGoogle Cloud限定になったり、CockroachDBのように日本進出していないなど、利用制限のある製品もある。TiDBは上述のようにクラウドプラットフォームを問わず利用可能。日本法人もあり、日本企業にも多く導入されているためサポート面でも実績がある。
4. HTAP(Hybrid Transactional and Analytical Processing)
HTAPという基幹系と情報系の統合というコンセプトを強力に推進している唯一のNewSQL製品である(第3回で詳述する)。
このように、TiDBはNewSQLの中でもユニークなポジションを確立している。次回は、TiDBの具体的なユースケースを見ながらNewSQLの使いどころを考えてみたい。