2025年2月19日、Qlikは2025年のAIとデータ主導ビジネスを形作るトレンドの予測を発表した。
同社は今後1年間に変革をもたらすテーマとして「真正性(Authenticity)」「適用価値(Applied Value)」「エージェント(Agents)」の3点を挙げた。
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これらのトレンドは、同社のエグゼクティブ・アドバイザリー・ボード(EAB)からのインプットを基に、Qlikの市場調査部門が策定したもの。詳細は以下のとおり。
真正性(Authenticity)
世界中のテキストデータがAIモデルに供給されているが、いまやAIが膨大なデータを生成し、情報汚染を引き起こしている。これにより、真正性の危機が生じる可能性があると同社は述べる。
企業がデータの信頼性を向上させるためのポイントとして、同社は以下4点を挙げた。
- データ資産の信頼性:データガバナンス、データセキュリティといった、高い信頼度合のAIを確保する
- データにおける共通言語:今後は、オープンテーブルフォーマットが共通言語になる可能性がある。これは、コストやガバナンスに良い影響を与えるほか、ベンダーロックインの低減にも寄与する
- ダークデータの存在価値を引き出す:企業が収集しているものの、積極的に利用や分析が行われていない状態のデータを活用する。AIなどを用いることで、それが可能になる
- 高品質なデータの取引:データマーケットプレイスやAIマーケットプレイスで、自社の高品質なデータを取引する。自社の企業機密データは、新規ビジネスの金脈になりうる
適用価値(Applied Value)
企業はAIの転換点に立っており、価値を得るためには継続性、経済性かつ安全性が必要。多様なAI技術と分析手法を活用することで、価値を生み出す洞察が得られる道が開かれるとしている。このトピックで同社が示す、注目すべき4つの視点は以下のとおり。
- AIアシスタントへの見直し:AIアシスタントを組み込み型・拡張型のアナリティクスで構成し、精度向上を目指す必要がある
- AI活用におけるコスト管理:持続可能なAI活用を実現するにはコスト管理が必要。現状のAIは、複雑な問題を解決するためには多くの計算機を使用する必要があり、持続的な活用が困難な状況にある。オープンテーブルフォーマットは、計算コストを削減できる
- AI設計の最適化に必要なコンテキスト:RAGとファインチューニングの次のステップとして、GraphRAG、オントロジー、大きなコンテキストウィンドウなどが挙げられる
- チャットでデータを引き出す:今後は、チャットインターフェースがデータとの対話の主流となる
エージェント(Agents)
真正性と適用価値を手に入れれば、新たなエージェントシステムの時代を実現できると同社は述べる。エージェントは、我々の代わりにデータとアプリを幅広く活用し、特定のソースに依存せず、相互運用可能かつ自動化されたエコシステムを構築し、問題を解決するようになるという。同社は、エージェントに関する以下4つのポイントを挙げている。
- マルチエージェントアーキテクチャの登場:マルチエージェントアーキテクチャを有効利用することが必要
- エージェント時代におけるアプリケーションの再考:アプリケーションを購入すべきか再構築すべきかなどを再考する必要がある
- リアルタイムの重要性:リアルタイムデータの優位性は、AIに利用される可能性や二次加工による情報汚染などを防げるところにある
- エージェント間の共同作業におけるプロセスインテリジェンスと自動化:真のエージェントを検討するうえで、エージェント間の共同作業におけるプロセスインテリジェンスと自動化が重要なポイントとなる
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