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酒井真弓の『Enterprise IT Women』訪問記

巨大・イオングループの30もの業務アプリを順次リプレイスへ 新体制に移行し「能動的なIT部門」目指す

第34回:イオンスマートテクノロジー 専門システム運用ユニット シニアマネージャー 内藤由美さん

 2024年12月に船出した、イオングループのDX推進を牽引する「新生・イオンスマートテクノロジー」。同社で2つの重要部門を率いる内藤由美さんは、調剤薬局の事務員からIT部門に転身した異色の経歴の持ち主だ。グループ60万人の従業員を支える約30のバックオフィスシステムと調剤システムのモダナイズに挑む、内藤さんの組織マネジメントの哲学とは。

「CX」と「EX」を両軸で進める新体制に移行

酒井真弓(以下、酒井):2024年12月、内藤さんがいたイオンアイビスのIT事業がイオンスマートテクノロジーに統合されました。新体制の狙いを教えてください。

内藤由美(以下、内藤):もともとイオンスマートテクノロジーはフロントエンド領域、つまり「iAEON」のようなアプリを担当し、イオンアイビスはPOSレジや会計、人事などのバックエンドの基幹システムを担当していました。統合の目的は、フロントからバックまで一貫したサービス提供によって、グループ全体のシナジーを最大化することです。顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の両方をデジタルの力で高めていく狙いがあります。

 私は主に従業員向けの価値提供に関わっています。イオンは2025年春にパート従業員の時給を平均7%引き上げる方針を打ち出していますが、人件費増加に対応するには生産性向上が不可欠です。DXを活用して手作業をシステム化し、効率を高める取り組みを進めています。

画像を説明するテキストなくても可

イオンスマートテクノロジー株式会社

コーポレートシステム運用ディビジョン 専門システム運用ユニット シニアマネージャー

兼 調剤システム運用チーム マネージャー 兼 サービスマネジメントユニット シニアマネージャー

内藤由美さん

酒井:具体的には、どうやって生産性を上げていくんでしょうか。

内藤:一例を挙げると、「幸せの黄色いレシートキャンペーン」をご存知ですか。イオンでは、お客さまが投函した黄色いレシートの合計金額の1%を地域のボランティア団体に寄付しているのですが、これまでは従業員が膨大な量のレシートを手作業で仕分けして入力していました。これをスキャンして自動でシステムに取り込めるようにしようと進めています。他にも電子決裁システムの導入や、Excel・紙ベースの業務のデジタル化を進めています。こちらは紙代や郵送代の削減に加え、保管スペースの削減にもつながっています。

酒井:全社となると、かなりの削減幅が期待できそうですね。

人材の層を厚くすべく、“エース級人材”を修行に送り出す

酒井:内藤さんは、2024年4月からグループのバックオフィス業務を支える約30のシステム、調剤システムの運用・保守を担う専門システム部の部長に就任し、それらのモダナイズを進めているそうですね。

内藤:約30のシステムは導入した時期も背景も異なり、Azureで動くものから、Salesforceベースのものまでかなりバラバラです。これを機に4~5のカテゴリーに整理整頓し、システムを集約して計画的にリプレイスを進めていく方針です。

 特に注力しているのは、システムを利用するグループ企業の規模やニーズに対応できる柔軟な設計です。全部入りのシステムを作れば管理は楽ですが、使う側にとっては不要な機能のコストも負担することになりかねません。同じシステムでも、企業ごとに必要な機能を選択できる仕組みにすることで、グループ全体のコストを最適化したいです。

 ただ、これらのアプローチはどうしても現状のメンバーの負荷が高まる側面があります。そこで昨年からは人材面での補強も強化しています。昨年は業務支援で2名の増員、マネージャーの交代、若手採用などを実施。また、思い切った決断として、30代のメイン所のシステムを複数担当しているメンバーを基幹系部門に送り出しました。

酒井:エース級の人材を修行に出した、ということですね。

内藤:はい、心を鬼にして(笑)。メンバーからは、「このタイミングで、この決断は考えられない」と言われたりもしましたが、本人の仕事の幅も広がるし、いい風を持ち帰って、いずれリーダーになってほしいという思いもあります。とにかく丁寧に説明を尽くしました。

 私たちが担当する領域は、縁の下の力持ち的で地道なものです。しかし、基幹系では対応しきれない領域をカバーし、かゆいところに手が届く役割を担っている点はむしろ強みだと考えています。ときにはチームメンバーから「基幹系は大変そうだけど、褒められるのはいつも向こう」とネガティブな声が上がることもあります。いやいや、私たちは私たちの価値がある。グループ会社の皆さんから感謝の言葉をいただくと、本当にうれしいです。チーム全体でその喜びを分かち合い、モチベーションにつなげています。

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調剤薬局の事務員からの転身 現場を知っていることが強みに

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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