米国Aberdeen Group が行った、企業の業績と利用しているBI(Business Intelligence)システムを調査したレポートによると、2008年9月から翌年7月の期間の売上の業界平均が4%ダウンだったにもかかわらず、マイクロストラテジーのシステムを利用していた企業だけ平均6%も向上していたという。なぜマイクロストラテジーのBIシステムはこのような効果をあげることができたのだろうか。その秘密は、限られたユーザだけのBI ではなく、全社的な展開を技術的に可能にする次世代型BI システムにある。
BIシステムへの期待が高まっている背景
社会情勢の変化や技術革新にともない、新しい市場やサービスが次々と生まれているが、同時に廃れる分野も多く、企業経営はますますスピードアップ、コストダウンが要求されている。エンタープライズ分野では、基幹業務や企業ITのコア部分の仮想化・サーバー統合が進んでいる。その一方で、ノンコアな個別の業務プロセスや機能についてはSaaSやクラウドを利用する動きも活発化している。
コストダウンとビジネスに機動力を持たせるため、業務プロセスの標準化を進め、分散したシステムの統合・集約や、BIシステムのように迅速な意思決定をサポートする機能への期待が高まっている。
企業はITシステムの役割の変革に迫られており、従来型のERPやCRMだけでなく、経営や戦略に直結したBIシステムの構築が求められている。
従来は定型的な業務系システム、業務処理の自動化や省力化を主たる目的とし、商品などのモノやお金の流れや伝票を処理して帳票を出力するシステムをいかに整備するかが重要だったといえるかもしれない。ERPシステムはまさにこの領域に対するソリューションであった。
現在は、アメリカでもEU 諸国でも、グローバルな市場の中で、よりオープンかつ柔軟にビジネス環境に対応していくためのシステムニーズが高まっている。業務により、サービスはBPO(Business Process Outsourcing)、SaaS、クラウドなどをうまく組み合わせて利用すればよい。システムは業務処理を実行するという側面に加え、経営戦略及びその実行を支援するための役割により比重が移ってきている。
企業のデータもインターネットやモバイルの普及とともに飛躍的に増え続けている。商品データ、パートナーの情報、顧客データ、それらの各種属性データ、膨大なあらゆる取引を含むジャーナル、ログ情報など、これらのデータをどう経営に活用していくかに企業競争力そのものが左右される時代に入りつつある。
BIシステムで現場に活力を
新しい企業ITシステムにとって、BIの重要なポイントとはなんだろうか。BIの説明で「おむつとビール」の話がよく引き合いに出される。これは分かりやすい例ではあるが、BIのすべてではない。BIは、さまざまなデータをデータマイニング、OLAPなどの手法で解析し、セグメンテーション分析や顧客のチャーン(離反)予測などをしてくれる高度な解析ツールという印象をもたれている。
過去のBIはこういった分析を行うスタッフが主なユーザであったが、マイクロストラテジーでは、BIの機能は、加えてパフォーマンス管理を含め、現場で活用すべき技術でありツール利用がパワーユーザと言われる人から経営者、全管理者、全従業員へと広がっている。ダッシュボードの情報は、経営層だけでなく現場のマネージャクラスこそ活用すべきである。
組織階層や機能に応じた情報の粒度やレベルで、現場にライトタイムで正確な情報を事実(FACT)として見える化、見せる化することは、それ自体で業績向上に効果がある。レコーディングダイエットがよい例だが、具体的な数字やデータを毎日チェックしていると、数字を良くするため、日常生活での改善の取り組みがなされ、加速されてくるものである。企業における業績も全く同様で、毎日タイムリーに各種の指標をダッシュボード等で確認することができると、業務指標を良くするための改善・工夫をし、その結果がどう数字に反映されているか確認して、更なる改善に進むようになる(図1)。
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