夢は「IT界のさかなクン」から「教育番組の制作」へ
──大人になると、毎日が忙しくて、夢を追いかけることが何だか難しくなってきますよね。アスースン・オンラインさんは、夢をかなえるためにしていることってありますか?
セキュリティ芸人を始めた頃から、マンダラートという9×9のマスの目標管理法を使っています。大谷翔平選手が高校時代に作っていたとして有名になりましたね。毎年更新しているんですが、はじめは「IT界のさかなクンになる」という大目標でした。今は「Eテレみたいな番組を轟かす」です。その周りに「勉強する」「情報発信する」「お笑いをやる」といった中目標を書き、さらに小目標で習慣的にやるべきことを設定する。それを実践して振り返るのを何年も継続してきました。

──今後は「Eテレみたいな番組」を制作したいと?
はい。「笑わない数学」や「魔改造の夜」みたいに、ガチ勢にしか理解できない内容なのに、なぜかワクワクして見ていられる番組が理想です。そのハッカーバージョンや情報工学バージョン、セキュリティバージョンを作りたい。「数え上げおねえさん」も好きですね。あれは名作ですよ。ああいうのを作れたら、もう……。
──めちゃくちゃ楽しみにしています。
取材後記:笑いを生む「緊張と緩和」
セキュリティ芸人 アスースン・オンラインさんの公式グッズに、貼るだけで「管理ずさんだけどパスワード頑丈すぎるやつ」になれる付箋ステッカーがある。PCに貼るのが本来の使い方だが、汚れてしまいそうなので、筆者はスマホケースに挟んで使っている。
これが思いがけず、ガチエンジニアと筆者との距離を縮める懸け橋になっている。AIエンジニアで起業家の安野貴博さんは、筆者のあまりの脆弱さに驚きながらも、「パスワードは誰にも見せないように」と助言してくださった。リテラシーの高い相手ほどツッコんでくれるのだ。
落語家・桂枝雀は、笑いを生む重要な要素として「緊張と緩和」を提唱した。人は極度の緊張状態が緩和されると、つい笑ってしまうという。もしかすると、厳しさを増すセキュリティ情勢とお笑いは表裏一体なのかもしれない。過酷なインシデント対応を乗り越えた者にこそ、一番笑える日がきっとくる。

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酒井 真弓(サカイ マユミ)
ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...
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