2025年6月26日、 Twilio Japanは、「年次調査レポート 顧客エンゲージメントの最新動向(2025年の顧客エンゲージメントの現状)」を発表した。同レポートは、日本を含む18ヵ国の7,600人以上の消費者と600社以上の企業を対象に実施したグローバル調査だという。
調査結果
日本企業の94%(グローバル:96%)は、カスタマーサポートやマーケティング、パーソナライゼーションといった顧客対応業務においてAIが効果を発揮していると感じており、78%(グローバル:75%)はそれらが収益の増加にもつながっていると考えている。
また、グローバルでは83%の企業が「自社は顧客を深く理解している」と自信を示しているのに対し、日本企業は56%にとどまっており、これは調査対象国内における最低レベルとのことだ。
「自分は企業に理解されている」と感じている消費者は20%(グローバル:45%)にとどまり、2024年の46%(グローバル:46%)から減少している。企業と顧客との認識のギャップが存在する中で、個人データを安心して企業に任せられると信頼する消費者の割合も、世界平均は15%であるのに対して日本では7%と、調査対象国中最低レベルだった。
消費者の34%(グローバル:54%)は、AIと対話していることを明確に伝えられることを求めており、ブランドには責任あるAI活用を実現するための明確な安全対策の導入が求められていると同社は述べる。そのほかの調査結果の詳細は以下のとおり。
- パーソナライズされた業務へのAI活用状況:56%(グローバル:56%)のブランドが、パーソナライズされたコンテンツやレコメンデーション、臨時サポート、動的なオファーなどにAIを活用。これにより、78%(グローバル:75%)の企業が顧客の支出増加を実感している
- 顧客の購入率とストレスの関係:消費者の56%(グローバル:71%)が、魅力を感じない体験があると購入をやめたいと答えており、一方で顧客の84%(グローバル:88%)は、意図せずパーソナライズされた対応があると購入期待が高まると答えている。しかし、そのようなサービスを提供できていると答えたブランドは、全体の47%(グローバル:44%)にとどまっている
- 顧客の企業に対する信頼度:89%(グローバル:90%)の消費者は、一部のブランドを信頼していると答えている。しかし、個人データを企業に安心して預けられると回答した日本人は7%(グローバル:15%)にとどまっている。また、73%(グローバル:84%)の消費者は、自分自身でパーソナライズ設定を管理したいと考えている
- 企業の今後の投資方針:企業の94%(グローバル:96%)が、パッケージのソリューションを購入するのではなく、自社専用の顧客体験を構築する計画を立てており、より良いデータ活用、透明性、そして自動化により競争力を維持しようとしている。加えて、58%(グローバル:75%)の企業が日本でRCS(リッチコミュニケーションサービス)が利用可能になり次第導入したいと回答している

調査方法
Twilioは、2025年1月3日から2月17日にかけて、18ヵ国の7,640人の消費者および637の企業を対象に調査を実施。回答者は、Z世代からベビーブーマー世代の基礎消費者、顧客体験、マーケティングテクノロジー(MarTech)、顧客データ戦略を担当する責任者を含んでいる。
調査対象国・地域は、日本、アメリカ、オーストラリア、ブラジル、チリ、コロンビア、フランス、ドイツ、香港、インド、インドネシア、イタリア、メキシコ、フィリピン、シンガポール、スペイン、タイ、イギリス。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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