2025年5月15日、ジェネシスクラウドサービス(以下、ジェネシス)は本社CEO来日にともなった記者会見を開催した。会見では、日本およびグローバルでの同社の戦略のほか、AIを用いた新たなサービスの発表も行われた。
会見冒頭、日本法人で代表取締役社長を務めるポール・伊藤・リッチー氏は日本の市場状況を発表。「前年と比べ『Genesys Cloud』の売上高は40%増、日本法人の従業員数も13%増加し、まもなく100名を達成する」と堅調に成長していることを強調した。
続けて、同氏はCXの現状に関して、消費者5,157人およびCX意思決定者1,181人を対象に実施したアンケート調査の結果を紹介。「好みのブランドとのやりとりにおいて消費者が最も重視するもの」を回答してもらったところ、日本では回答者の68%が「自分の意図を予測し、先回りして最適なソリューションを提案してくれる」ことを望んでいたという。一方で、「毎回同じオペレーターが対応してくれる」ことを望んでいる日本の回答者は19%と低い。この結果を見て、「日本顧客から求められている『要望を先回りして対応する』という機能は、Genesys Cloudが強みとしているものだ」と語った。
次に、ジェネシスで会長兼CEOを務めるTony Bates(トニー・ベイツ)氏が登壇し、同社のグローバルにおける戦略を解説した。現状、企業と消費者が連絡を取り合う手段は直接的な会話やデジタルチャネルを用いたものなどがあるが、それらはシームレスに連携されておらず独立してしまっているという。同氏は、「独立したタッチポイントをシームレスに連携し、個人化していくことが重要だ」と述べる。ジェネシスは、このようなサイロ化したシステムをつなぎ、統合を図っているとのことだ。フロントオフィスで活用している機能とバックオフィスで活用している機能をつなぎ合わせることで、新たな顧客体験を創出できるとしている。
グローバルでの同社の成長率を見ると、過去3年におけるGenesys Cloudの売上継続率は120%にのぼり、2025年度第4四半期の同サービスの年間経常収益は15億ドルに達しているという。また、Genesys Cloudのユーザー企業数は6,500社を超え、そのうち45%の企業がGenesys CloudにAI機能を搭載した「Genesys Cloud AI」を利用しているとのことだ。
同社のAI技術については、CPOのOlivier Jouve(オリヴィエ・ジューヴ)氏から進捗状況が語られた。以前よりAI機能の展開を進めていた同社だが、現在はエージェント型のカスタマーサービスの提供に注力しているという。同社は、2021年にリリースしたチャットボットに、LLMの機能を搭載した「Genesys Virtual Agent」を2024年12月にリリース(日本語に対応)。これにより、20〜50%の通話完了率を達成できるほか、初回コンタクト時の課題解決率が50%以上向上するとのことだ。
加えて、「Genesys Cloud Virtual Supervisor」では顧客とのやりとりの内容の要約や顧客対応評価採点の自動化、顧客体験向上に向けた改善情報の生成などを提供。導入効果としては、手作業による評価にかかる時間を35%削減させるとしている。
そのほか、数ヵ月後にはエージェントのオーケストレーションを支援する「AI Studio」の提供を開始する。具体的には、AIエージェントの作成や開発、フローの構築やモデルの一元管理などが行えるとのことだ。
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