大林組、大和ハウス工業、清水建設が語る「BIMから始まる建設DX」と未来戦略
オートデスク 「Design & Make Summit Japan 2025」レポート
RevitからTandemへ 建設DXプラットフォームが描く業界変革
稲岡:日本の建設DXが間違っていたとまでは思いませんが、海外でMMC、IC、DfMAに注目が集まるのはなぜか、理解が及んでいないところがあったが、気づけてよかった。最後のテーマ「オートデスクへの期待」について聞かせてください。
宮内:Revitの導入でわかったことが2つあります。1つは建設の技術を学べること。描いてみて、おかしいとわかって学ぶ。その繰り返しが技術を一定レベルに引き上げるのです。もう1つは、ITを学べる場でもあること。デジタル人材の登竜門になる環境を提供してくれるとわかりました。
飯田:「やっと気づけた」の話に戻りますが、建設業はどうしても技術論になりがちで、「なぜ?」の視点にならない。問題解決は1社の業務改革ではできません。ステークホルダーとの情報共有ができるよう、プラットフォーム環境の提供を期待したいですね。
三戸:マネジメントでは、「いかに少ない人数でいかに安く」が常に求められます。それをデジタルでどう実現するか。Revitが建物の情報をデータベース化し、Buildがそのマネジメントを行う。今のBuildは予実管理の「予」ができますが、次のアクションに繋がる材料を得るための「実」まで、ACCの中で完結できればと思います。今は95%のデータが竣工と同時にゴミになりますが、建物のメンテナンスにもBIMのデータを使えるようにしたい。Tandemのデジタルツインは、建物のマスターデータになるでしょう。その意味で、BuildとTandemには期待しています。
稲岡:建設業界が抱える課題は全ての産業の営みの結果であり、デジタル化だけでは解決できない。抜本的な変革にはデータの整備が不可欠だと。最後の一言を、それぞれからお願いします。
飯田:現状維持では未来はない。ニコラの話に「アウトカムベース」とあったように、バックキャストして何が必要かを皆さんと一緒に考えたいですね。
宮内:BIMをやったからこそ、次に実現したい姿が見えてきました。その一方で、サステナビリティのように、一社だけではできないこともある。競争と同時に共創に取り組みたいですね。
三戸:現場の忙しくしている人たちに、新しいことを覚えてもらうのは負担が大きいと思っていたのですが、考えが変わった。彼らにはリテラシーを高めてもらい、本当の意味で建築とデジタルがわかるマネージャーになってもらいたい。それが最終的に会社を強くすることに繋がると思います。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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