キリンホールディングスは、Celonisのプロセスマイニングソリューションをアビームコンサルティングとともに導入し、調達・購買業務における検収処理の業務滞留検知と督促業務を自動化したことで、年間160人日の工数削減を達成したという。
キリングループ全体の調達・購買業務を担うキリンホールディングスの調達部では、2023年に間接材向け調達システムとしてSAP Aribaを導入した。毎月約2万件に及ぶ取引の中で、請求書登録や承認といった検収処理の業務滞留が課題となっていたとのことだ。
支払遅延による下請法抵触などのリスクを回避するため、同部門では全取引のステータスを確認し、取引先や社内担当者への督促業務を行っていたが、この業務に用いていた内製開発の独自システムには、複数の課題があったという。具体的には、業務開始前の早朝に対応が必要なことや、締日前に業務負荷が著しく高まること、加えてシステムは高度な専門性を持つ一部のメンバーしか維持管理できない属人化した構造であり、業務の持続性の観点からも改善が急務だったとしている。
これらの課題を解決するため、同社のデジタルICT戦略部は、Celonisのプロセスマイニングソリューションの導入を検討。Celonisを活用すれば、SAP Aribaのデータから業務滞留を自動で検知し、督促メールを自動送信できるため、調達部が目指す業務の自動化が実現可能だと判断されたという。
また、これまでキリンホールディングスの業務改革をデータを用いて支援してきたアビームコンサルティングが、SAP Aribaの導入を担当しており、Celonisに関する知見も有していたことも導入の決め手になったとのことだ。
導入効果
2024年10月に導入を決定し、要件定義から開発・テストまでを約2ヵ月で完了させ、2025年1月から本番稼働を開始したという。Celonisの導入により、従来の独自システムでは実現できなかった「サプライヤーへの発注未受領・請求書登録のリマインド」「社内発注者への承認リマインド」「異常値や承認者の検知」といった機能が実装され、業務の自動化と精度向上に貢献しているとのことだ。
この取り組みの結果、導入から約半年間のモニタリングで、年間160人日程度の工数削減を達成するという定量的な効果が確認されたという。これまで属人化していた業務のロジックが明文化され、データ加工から督促の自動送信までが一つのシステムに統一されたことで、業務の持続性が向上。現場の請求者が対応する一連の業務における滞留やミスが減少し、管理する調達部においても業務がスムーズに進むようになったとしている。
今後の展開
キリンホールディングスは、将来的にはCelonisの適用範囲を営業・生産・財務など他部門へ拡大することも視野に入れているという。具体的には、SalesforceやServiceNowといった他の業務システムとCelonisを連携させることで、グループ全体の継続的な業務プロセス改善を推進していく方針とのことだ。
【関連記事】
・NECとCelonisが共同実証 生成AI「cotomi」とプロセスマイニング技術を連携
・富士通とCelonis、プロセスマイニングサービスのグローバル展開に向け協業を拡大
・豊田通商、不正兆候の発見と不正抑制力の強化に向けてCelonisのプロセスマイニングを活用
この記事は参考になりましたか?
- 関連リンク
- この記事の著者
-
EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア