6つの重点品目でカテゴリーマネジメントに挑戦
時間の経過と共に、その成果は少しずつ現れ始めた。2025年3月時点で、カタログ化率は46%、PO率は63%と、事前に設定した目標水準の50%、80%に近づいてきた。そして、Aribaに蓄積したデータを分析し、カテゴリーマネジメントに取り組めるようになった。ここでのカテゴリーマネジメントとは、企業が購入する製品/サービスの、特性に応じて定義するカテゴリーごとに調達活動を行うマネジメントアプローチを意味する。市場や製品/サービスの深い専門知識が前提となることから、海外先進企業では、カテゴリーマネージャーと呼ばれる職種の人たちが活躍する職種だ。
カテゴリーマネジメントは、直接材、間接材を問わず、適用できるアプローチだが、間接材の場合は対象品目が幅広く、トップカテゴリーの20%の品目への支出が全体の80%を占める場合も珍しくない。そこでオムロンは、データ分析で購入金額トップ20のカテゴリーを抽出し、優先的に強化するべき6つのカテゴリーを選び、カテゴリーマネージャーを配置した。それが「トラベル」「人材サービス」「PC」「建物管理・修繕」「ITエンジニアリング」「コンピューター機器付属品」の6カテゴリーになる。佐々木氏は、各カテゴリーに対して現行のルールと規律を調べ、今後の強化方針とモニタリングするKPIを以下のように定めた。

実は、オムロンがカテゴリーマネージャーを置き、間接材購買改革に取り組んだのは、今回が初めてではない。現在、以下の4ステップで改革を進めているが、前回はステップ1とステップ2までが中心だった。ステップ3以降をカテゴリーマネージャーに一任し、それぞれが削減目標に注力し、その時は結果を出したかに見えたものの、残念ながら一過性のコスト削減に終わってしまったという。
- ステップ1:データの蓄積と分析
- ステップ2:カテゴリーマネージャーの配置
- ステップ3:ルール及び規律の制定と周知
- ステップ4:モニタリング活動を通しての牽制
「前回の反省を踏まえて、コスト削減の目標値をカテゴリーごとに定め、その責任を各オーナーに負わせる代わりに、ルールと規律を設定し、持続可能なコスト最適化の仕組みを構築しようと考えた」と佐々木氏は打ち明ける。狙いは、最後のステップ4までを継続的に取り組むことにあり、モニタリングが容易になるようにと、カテゴリーを6つに絞り込んだ。
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...
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