 
米国時間10月14日、Oracle AI World 2025において「The “AI for Data” Revolution is Here – How to Survive and Thrive」と題した基調講演が行われた。AIをデータ管理の中核に組み込んだ、次世代AIネイティブ・データベース「Oracle AI Database 26ai」の発表に加え、エンタープライズのデータとAIを安全に接続し、エージェント型アプリケーションの作成・展開を可能にするプラットフォーム「Oracle AI Data Platform」の一般提供開始が公表された。
AIとデータを一体化する「Oracle AI Database 26ai」登場
基調講演の冒頭、Oracleが長年にわたってオープンスタンダードに基づいた“コンバージド・アーキテクチャ”を通じ、すべてのデータ型とワークロードをシームレスに統合してきた、と説明するのは同社 データベース技術担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのホアン・ロアイザ(Juan Loaiza)氏。この戦略はAIにも適用され、AIとデータを一体化した「AI for Data」というコンセプトを実現すると述べた。
この戦略を具現化するものが、新製品「Oracle AI Database 26ai」だ。これは、AIとデータをともに設計し、“次世代のAIネイティブ・データベース”として位置づけられる。同製品はLTS(長期サポート)リリースとして、「Oracle Database 23ai」を置き換えていく。ユーザーは、2025年10月のリリースアップデートを適用するだけで、新しいAI機能を追加可能だ。

このOracle AI Database 26aiには、2つの“AI技術的”なブレークスルーがある。1つは、データベースにおける新しいデータ型となる「AIベクトル」だ。これはドキュメントや画像、動画など、非構造化データを含む“複雑なオブジェクト”のセマンティック・コンテンツ(意味内容)を表すための数値データを指す。AIベクトルの利点は、データベースでは実現できなかった「類似性検索」を可能にすることだ。
これまでのデータベースでは完全一致するものしか見つけられなかったが、AIベクトルにより、類似度の高いオブジェクトを“ベクトルの類似性”に基づきながら高速に見つけ出せる。これはOracleのベクトルAIインデックス技術により、類似性検索はミリ秒単位で実現され、OLTPと分析の両方に適しているとロアイザ氏は主張した。
 
たとえば業務上の質問に答えるには、従来のデータベース検索とAIベクトル検索を組み合わせて関連するビジネスデータを見つけ、それをLLMに渡すためのRAGが必要だ。しかし、Oracle AIデータベースでは、RAGの連携をシームレスに行えるように設計されており、SQLステートメントに一行追加するだけで複雑なタスクを実行できる。
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                    谷川 耕一(タニカワ コウイチ) EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト... ※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です 
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