コープさっぽろ/日清食品GのIT費用管理術 AI台頭で状況が一変している今、CIOが担うべき役割とは
「CIOはIT活用のアクセルを踏む存在に」長谷川氏と成田氏がIT投資の現在地を語り合う
DXを推進してきた企業が、IT環境整備などの次に直面する課題として「IT費用管理」がある。クラウドやSaaSの利用が前提となり、AI活用も本格化。コストの発生源が複雑化し、ブラックボックス化のリスクが高まっている。DX先進企業は、どのようにIT費用管理に向き合っているのか。DIGGLEでCCSOを務める畠山遼氏が、コープさっぽろ CIOの長谷川秀樹氏と、日清食品ホールディングス CIOの成田敏博氏をゲストに迎え、これからのIT費用管理について聞いた。
IT費用を「売上高の1.3%」で制御するコープさっぽろ、柔軟に管理する日清食品
畠山遼(以下、畠山):まず、お二人の経歴について教えてください。
長谷川秀樹(以下、長谷川):最初は、アクセンチュアで小売業の業務改革やコスト削減に携わっていました。その後東急ハンズ(現ハンズ)に移り、情報システム部門などの責任者として変革をリードしつつ、子会社としてITソリューションプロバイダー「ハンズラボ」を立ち上げ、代表を務めました。2018年にメルカリのCIOに就任後はプロフェッショナルCIOとして複数社のCIOを兼任し、2020年からコープさっぽろのCIOを務めています。
成田敏博(以下、成田):私もアクセンチュア出身です。在籍中に長谷川さんとご一緒する機会はなかったのですが、DeNAに転職後、IT関連の取り組みを進めるにあたって他社事例を調べていた頃に長谷川さんと出会いました。その後、長谷川さんがメルカリへ移られるタイミングで声をかけていただき、同社で一緒に働きました。2019年に日清食品ホールディングスへ入社し、今はCIOとして全社DXを推進しています。
畠山:大企業のDXを牽引されてきたお二人ですが、DXが進むにつれて課題になりがちなIT費用管理には、どう向き合ってこられましたか。
長谷川:私が着任した当初のコープさっぽろのIT部門は、事業部門の予算を集約するだけで予算判断の責任も持っておらず、しかもその予算が概算なので消化率も低かったんです。そこから、IT部門が事業部門とすり合わせたうえで見積もりを取り、予算を計上する運用に変更していきました。
成田:日清食品は、私が着任する前のCIOである喜多羅滋夫さんが改革を行っており、IT人材やクラウドの土台が既に整っていました。なので、私はその土台を引き継ぎ、その先の「内製化」に着手したんです。イニシャルコストをかけてベンダーに丸投げするのではなく、自分たちで手を動かし、足りない部分だけベンダーに助言やフォローを頼む形に切り替えました。その代わり、インフラや運用を肩代わりしてくれるマネージドSaaSの活用を増やし、リーンに改善を回せるようにしています。
畠山:そもそも、IT部門の予算はどういった形で確保されているのでしょうか。
長谷川:「システムに関わる費用は『売上高の1.3%』でコントロールする」と経営陣内で合意を取りつけています。要するに、「1.3%に収まるよう責任を持つので、その枠内の費用は確保してほしい」と言質を取っているということですね。
畠山:その「1.3%」という数字はどのように算出されたのでしょうか。
長谷川:着任当時にかかっていた費用がその数字だったんです。もっと抑えると必要な投資まで削るリスクがありますし、無駄を削って新規投資に回せば1.3%以上もいらないだろうと判断しました。大事なのは数字そのものではなく、基準値を設定してコントロールすること。IT部門の費用感が見えていれば、経営陣も事業をコントロールしやすいですから。
成田:当社では予算を都度計上していますが、必要であれば、むしろ経営陣から「急いでやりなさい」と背中を押してもらえる環境ですね。生成AI活用も、急遽世の中に出現した技術を適用する局面から、当初は予算をまったく取っていなかったところからスタートせざるをえませんでした。そもそもIT領域は技術の変化が激しいので、中長期的に予算計画を固めても意味が薄れてしまうことが少なくない。その都度必要なものを判断し、小さくフレキシブルに始める環境を整えることが大切だと考えています。
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DIGGLE株式会社(ディグルカブシキガイシャ)
「Dig the Potentialテクノロジーで、企業の成長可能性を掘り起こす。」をMissionに、経営資源の戦略的な投資判断を支える「DIGGLE予実管理」をはじめとした、「ヒト」「モノ」「カネ」の最適なリソースアロケーションを実現する複数プロダクトの開発・提供を行っています。「経営の動脈に...
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