2025年12月9日、Coltテクノロジーサービス(以下、Colt)は事業戦略説明会を開催した。
同社 アジア太平洋地域社長 水谷安孝氏
説明会冒頭、ネットワークを取り巻く市場環境について紹介されると、「量子セキュリティ」「XaaS(as a Service化)」「エッジコンピューティング」それぞれの市場が下図のように大きく伸長するという予測を公表。既に同社は「QKD」に関して東芝と協業している。
(提供:Coltテクノロジーサービス株式会社)
こうした事業環境の変化に追随できるよう、インフラ、ネットワーク、サービスという3つの軸を据えた事業戦略をグローバルで推進。たとえば、光ファイバーなどネットワーク網の拡充、NaaSのようなプラットフォームサービスによる利便性の向上、マネージドサービスによる支援などに取り組む。特に同社の競争優位性はカバレッジの大きさにあるとして、「Juno」から東京間の開設などを含めて大西洋/太平洋横断の海底ケーブルを用いた事業拡大も展開していく。
(提供:Coltテクノロジーサービス株式会社)
また、水谷氏は「政治的な力が働きにくく投資しやすい環境など、(Colt本社における)日本市場への関心は高い」と述べる。現在、Coltにおける日本市場への投資は積極的だとして、データセンター間の接続やバックホール需要が高い「ハイパースケーラー」、クラウド/AI向けのネットワークや海外拠点向けネットワーク需要が高い「エンタープライズ」、金融取引向けソリューションや低遅延ネットワーク需要が高い「キャピタルマーケット」の3領域がビジネスにおける注力ポイントになるという。
既に西日本エリアへのネットワーク拡張を進めており、東京・大阪間ネットワークとして新たなルートを開発中。関西以西では、22拠点を新設している。
(提供:Coltテクノロジーサービス株式会社)
また、エンタープライズネットワークが複雑化しており、WAN側でもSD-WANやNaaSによる帯域や拠点制御の需要も高まっているという。水谷氏は「これまで海外拠点は各国でネットワークを引いても問題はなかったが、セキュリティの高まりから本社側でコントロールしたいというニーズが高まっている。日本本社から北米や欧州、アジア各国などのグローバル拠点を管理する際にもColtなら1つの窓口に集約でき、日本の商習慣にあった形でサービスを提供できる点は強みだ」と話す。さらにNTT東日本/西日本と協業することで、2026年1月より両社が提供する「Interconnected WAN」をColtサービスのアクセス回線として活用できるようになる。日本市場への進出、海外市場への進出、両方の需要に応えるためのネットワークの土台を構築できた中、初年度は100件ほどの成約を見込んでいるとした。
(提供:Coltテクノロジーサービス株式会社)
なお会見では、韓国初となる代替取引システム(ATS:Alternative Trading System)を提供するNextradeとのマーケットデータ提供契約を締結したことにも触れられた。
(提供:Coltテクノロジーサービス株式会社)
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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
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