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EnterpriseZine Press

1年で資生堂のIT環境から完全独立したファイントゥデイ──“システムに合わせた業務”がAI活用の礎に

11の国・地域でのグローバルERP刷新を成功に導いた要因とは。「BITA」リーダーに訊く

大規模プロジェクトを短期間で成功させた要因とは──「BITA」組織の役割

 今回のプロジェクトをけん引したのがファイントゥデイのIT部門として機能する「BITA」だ。BITAは「Business IT Architect」の略で、同社がビジネスプロセスをITで設計・構築する役割を担う人材に付けた名称である。経営戦略を支えるシステムの企画・開発から、各部門の業務プロセス改善まで、全社の生産性向上とDXを推進する役割を担っている。

 同社 IT本部BITA1部の小室氏は、Oracle Fusion Cloud Applicationsのサービスマネジメントと、データプラットフォームによって、グループ全体のサプライチェーンから財務にいたる基幹システムを担当する。同部の槙氏は、主にSCM領域におけるシステム導入から現在の業務改善までを担当し、Oracle AI Agent Studioを活用したAIエージェント開発の実証実験も手がける。

 導入プロジェクトにあたっては、業務部門側の各領域におけるキーユーザーが中心となり、IT部門側はモジュールごとにBITA担当者を配置する体制を取った。槙氏は「業務領域ごとにBITA担当者を割り当て、キーユーザーと相対しながら周りを巻き込んでいきました」と説明する。

 槙氏がプロジェクトに参画してからは、現状の業務プロセスを業務部門にヒアリングし、パワーポイントに書き起こすところから始めていったという。IT部門と業務部門が協働し、かつて資生堂のシステムで行われていた業務の理解と整理が行われた。

 次のステップは、整理した業務をOracleの標準機能へ当てはめていく作業だった。「Fit to Standardの考え方で進めることが会社の方針だったので、カスタマイズはできる限りせず、アドオンも最低限にしました」と槙氏。標準機能に当てはめられない業務に関しては、優先順位をつけてアドオン開発を進めた。「クリティカルな業務を優先的に、頻度の少ない業務や遅れても問題ない業務は優先順位を下げました。これが1年強での短期間カットオーバーの要因になったと思います」と同氏は語る 

株式会社ファイントゥデイ IT本部 BITA1部 Manager 槙智史氏

グローバル統一の障壁も:成功を支えた地道なフォローアップ

 2021年11月から開始されたプロジェクトは、2023年1月には11の国・地域でERPをはじめとした基幹システムのスタンドアローン化を実現。財務、サプライチェーン、製品ライフサイクル管理、経営管理という4つのクラウドサービスを、グローバル・シングル・インスタンスで稼働させた。「稼働直後は大混乱でしたが、カスタマーサクセスや本社の開発部門の方たちにも直接サポートいただいて非常に助かりました」と後藤氏は語る。

 無事カットオーバーしたものの、細かなフォローアップ作業は欠かせなかったという。小室氏は「ERPが使える状態にはなったものの、場合によってはERPの外で賄っている業務もあり、徐々に運用できるようサポートを続けていきました」と振り返る。特に2023年6月までは、アジア各国へのリモート対応も含めた適合作業が続いた。

株式会社ファイントゥデイ IT本部 BITA1部 Vice President 小室英彦氏

 また、グローバル企業特有の障壁も存在した。「国や地域で事業規模も違うので、IT担当を十分に配置できず、ケアが届かない部分があります。同じことを各拠点に説明しなければいけないなど、コミュニケーション量が掛け算で増えてしまう。共通の仕組みやITの統制ルールの定着には本当に労力がかかると痛感しています」と語った。海外パートナーを活用しながら個別にフォローアップを続けているという。

 それでも小室氏は成果を強調する。「何よりも業務が立ち上がっていること。短期間でTSAが終わった後に新しいシステムで業務が成り立たせられていることは明らかな成果です。旧来のオンプレミスシステムでは到底無理な話だったでしょう」と述べる。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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