2027年「新リース会計基準」強制適用へカウントダウン マネーフォワード経理部から学ぶ「4つの要諦」
監査法人との連携は前倒し、決算繁忙期は回避する……2年前倒しの早期適用事例をひも解く
迫る「新リース会計基準」 システムとフローの見直しは必須に
今回の早期適用を経て、松岡氏があらためて強調するのは「契約書のデータベース化」と「システムによるプロセスの担保」だ。
新リース会計基準に限らず、契約内容を起点として会計・税務処理を決定することは経理業務では多く発生する(たとえば、収益認識基準は「契約の識別」から手続きをスタートする)。また、前払費用があった場合、それが準委任契約ならば期間按分で償却できるが、請負契約ならば成果物の検収まで費用化できないといった判断だ。こうした判断を正確に下すためには、経理部門が契約書に適宜アクセスできる環境が不可欠である。
しかし、多くの企業では依然として経理担当者が事業部門に電話をかけて依頼したり、口頭で確認して済ませてしまったりと、アナログな人間関係に依存した業務フローが残っている。松岡氏は「人に依拠した運用では、担当者が変わった際などに事故が起きる」と指摘し、システムを用いて漏れなくデータ化する必要があると話す。
たとえば、マネーフォワードでは「マネーフォワード クラウド契約」で契約データを構造化されたデータベースとして管理した上で、AIを用いてリース判定を行う機能を実装している。これによりAIが「リースが含まれる可能性」を判定し、人間はその根拠となる条文をスムーズに確認可能だ。契約を起点にAIがリース管理台帳の作成をサポートし、会計システムへ自動連携するという一連のプロセスを構築することで、人為的なミスや漏れを防ぐ。「契約書を確認しないとわからないことは多い」という松岡氏の言葉通り、これからの経理DXの本丸は、単なる仕訳の自動化などだけでなく、法務領域である「契約データ」と「会計処理」のシームレスな統合にある。新リース会計基準への対応を単なる負担として捉えるのではなく、契約書の電子化やデータベース化を推進し、AI活用を含めた経理DXを加速させるためのトリガーとして活用すべきだ。
2026年に突入した現在、2027年の強制適用まで残された時間は決して長くはない。マネーフォワードの事例からわかるように早期の着手、監査法人との密な連携、そして“データでつなぐ”という思想の下でシステムと業務フローを見直すことが肝要だろう。それは新リース会計基準だけでなく、より複雑化していく会計基準に対応してくための基礎となる。

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岡本 拓也(編集部)(オカモト タクヤ)
1993年福岡県生まれ。京都外国語大学イタリア語学科卒業。ニュースサイトの編集、システム開発、ライターなどを経験し、2020年株式会社翔泳社に入社。ITリーダー向け専門メディア『EnterpriseZine』の編集・企画・運営に携わる。2023年4月、EnterpriseZine編集長就任。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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