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PwCの「Tax AI」の現実解──複雑化する税務・経理業務にAIはどこまで活用できるか?

三菱商事実証事例:正解率97%を達成

 角谷氏は、実際に導入・検証されているAI活用事例を紹介した。いずれの事例にも共通するのは、OCR(光学文字認識)と生成AIを組み合わせたドキュメント処理だ。「OCRにはテキストの抽出を実施させる。一方で生成AI側には帳票の画像データをそのまま投入する。この2つを合わせて生成AIに入れることで、OCRの認識誤りなどを補完でき、処理精度が上がる」と角谷氏は説明する。

図 出典;PwC Japan [画像クリックで拡大]

 こうした文書からの情報抽出に加え、税務申告書のチェック業務にもAIを活用している。ここでは「点検方針プロンプト」が鍵を握る。チェックリストの各項目について税理士の知見を具体的なプロンプトに落とし込むことで、AIが関連書類を横断的に分析しながら点検を行う。出力では国税庁の申告書確認表に基づいた判定結果に加え、「どこから何の情報を取ってきて、どう判定したのか」が明示され、後続の検証作業に活用できる。

図 出典;PwC Japan [画像クリックで拡大]

 さらに、グローバル展開企業にとって負荷の高いタックスヘイブン税制(外国子会社合算税制)業務の自動化にも取り組んでいる。決算書からはバランスシートと損益計算書のデータを表形式で抽出し、AIが各社で表記の異なる勘定科目を標準科目へマッピングする。申告書については「米国特化AI」「英国特化AI」「シンガポール特化AI」といった具合に、各国のフォーマットに合わせたAIを用意し、必要な情報を抽出する。ここでも「何ページ目のどのエリアから抽出した値なのか」が明記され、担当者は後続の検証作業を効率的に行える。

 この技術を活用した代表的な取り組みが、2024年4〜5月に実施した三菱商事との実証実験だ。AI-OCRと生成AIを組み合わせ、2つの業務プロセスを検証した。一つは保証債務に関する情報(被保証先会社、保証極度額、保証残高など)を契約書や残高証明書から抽出する業務で、平均正解率97%を達成。もう一つは支払調書の提出要否判定で、再現率98%を実現した。

 これらの事例を踏まえ、角谷氏は「筋の良いユースケース選定による『成功体験』の積み上げが重要だ」と強調した。効果が大きく難易度が低いものから始めて成功体験を積み、組織内にAI活用の経験を蓄積していくアプローチを推奨する。

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京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...

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