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ソフトバンク、AIで「怒りの声」を穏やかに変換するカスハラ対策ソリューション「SoftVoice」を提供開始

 ソフトバンクは2026年2月2日、コールセンターなどの電話応対業務におけるカスタマーハラスメント(カスハラ)対策ソリューション「SoftVoice(ソフトボイス)」に関する記者説明会を開催した。独自開発のAI音声変換技術により、顧客の威圧的な声をリアルタイムで穏やかなトーンに変換し、オペレーターの心理的負担を軽減する。2026年4月からの改正労働施策総合推進法の施行を見据え、企業のカスハラ対策を支援する。

ソフトバンク株式会社 AIテクノロジー本部 AI&テクノロジー事業本部 担当部長 中谷敏之氏

黒だけでなくグレーゾンのカスハラからも従業員の心を守る

 説明会に登壇したAIテクノロジー本部の中谷氏は、SoftVoiceの開発背景について「5年の開発期間を経てようやくリリースに至った」と語り、カスハラ対策の現状と課題を説明した。

 中谷氏によると、カスハラには国による明確な定義基準がなく、現場での対応判断が難しい状況が続いているという。「カスハラというと真っ黒なもの、つまり明らかな暴言や脅迫を想像しがちだが、実際にはそういったケースは少ない」と中谷氏は指摘する。正当なクレームとの境界線上にある「グレーゾーン」の対応こそが、オペレーターの精神的負担になっているという認識だ。

 コールセンター業務は「感情労働」と呼ばれ、ホスピタリティの提供が本分である一方、日々の業務の中でオペレーターの心は確実に削られていく。中谷氏は「悪質クレームだけがカスハラではない。もっと広い範囲で従業員の心のすり減りが起きており、しっかり保護する必要がある」と強調した。

 2026年4月には改正労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)の施行により、カスハラ対策が企業の努力義務から対策義務へと強化される。同法33条、34条では、従業員をカスハラから守るための体制整備やマニュアル策定が求められる。

 中谷氏は「これまでは被害の証拠を示せば対応できたが、今後は放置していたことの証明を求められる時代になる」とレピュテーションリスクの観点からも警鐘を鳴らした。オペレーターの健康被害を防ぐだけでなく、企業としての法的責任を果たすためにも、体制の整備が急務となっている。

 SoftVoiceの核となる技術は、独自開発のAI音声変換モデル。顧客の発話内容はそのまま維持しながら、声に含まれる威圧的なトーンや怒りの感情をリアルタイムで解析し、穏やかな声色に変換してオペレーターに届ける。SoftVoiceは以下の4つの主要機能からなる。

1. 怒り抑制(AI音声変換)

 中核機能となる音声変換技術だ。AIが顧客の声から怒りや威圧的なトーンをリアルタイムで解析し、瞬時に穏やかな声質へと変換する。会話の内容はそのままに、オペレーターが受ける心理的ストレスのみを抑制する仕組み。

2. 警告メッセージ

 3段階の自動音声メッセージ機能を搭載する。現場を疲弊させる暴言や長時間の電話に対し、オペレーターが直接言いづらい「警告」を自動音声が代行する。会社のルールに沿った段階的な警告を行うことで、感情的な対立を避け、冷静なコミュニケーションをサポートする。

3. ノイズ抑制

 高度なAI技術を用いたノイズキャンセリング機能。周囲の騒音や怒鳴り声のみを抑制し、必要な「言葉」だけをクリアに届ける。情報の聞き取りミスを防ぎ、スムーズな対話をサポートする。

4. 通話録音機能

 すべての通話内容をオペレーターのPC内に自動で録音・保存する機能。2026年から始まるカスハラ防止の義務化において、状況を正確に記録することは企業の重要な役割となる。万が一、ひどい暴言などがあった場合も、確かな証拠として従業員を守るために活用できる。

 説明会では、コールセンターでの電話応対業務において不適切な要求や過度なクレームが発生した場面を想定したデモンストレーションが行われた。顧客役とオペレーター役のやりとりを通じて、SoftVoiceがオペレーターにかかる精神的・肉体的な負担をどのように軽減するかが示された。

 すでに福井県坂井市が導入しており、除雪作業に関するクレーム対応での状況の改善に活用されているという。

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この記事の著者

京部康男 (編集部)(キョウベヤスオ)

ライター兼エディター。翔泳社EnterpriseZineには業務委託として関わる。翔泳社在籍時には各種イベントの立ち上げやメディア、書籍、イベントに関わってきた。現在はフリーランスとして、エンタープライズIT、行政情報IT関連、企業のWeb記事作成、企業出版支援などを行う。Mail : k...

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