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自治体DXの雄・都城市に聞く「やるだけ損」からのマインドチェンジ術──小さな変化のために挑戦を称える

#6:都城市 総合政策部 デジタル統括課 副課長 佐藤泰格氏

 「DXって、やるだけ損しますよね」──自治体のDX担当者から届く赤裸々な本音だ。宮崎県都城市 デジタル統括課 副課長の佐藤泰格氏は、そんな現場のリアルと向き合いながら、マイナンバーカードの普及、AI活用、行動経済学を活用した広報など、全国に横展開できる取り組みを次々と生み出している。その実績は、3年連続「日本DX大賞」の大賞を受賞し、初の殿堂入りという形で結実し、審査員から半ば冗談で“出禁”を言い渡されたほどだ。「やるだけ損」を「やってよかった」に変えるべく今日も奔走する佐藤氏に、自治体DXにかける思いを聞いた。

DXは“やり損”? 築城3年、落城3日でもやるのは市民のため

──佐藤さんは都城市職員だけでなく、自治体DXを支援するべく総務省が委嘱した「地域情報化アドバイザー」なども務めており、週1ペースで全国の自治体を訪問しているとうかがいました。

 民間と自治体職員合わせて240人ほどが登録されていて、自治体などからの要請によって派遣されています。この2年間は一番呼ばれているのが私なんだそうです。

 外部アドバイザーの最も大きな役割は調停役で、庁内で意見がぶつかって前に進めなくなっているところに入って「こっちの方向がいいんじゃないか」と助言する。「外からもそう言われている」という事実が、物事を動かすきっかけになったりするんですよね。

──自治体DXの現場からはどんな声が上がっているんですか?

 かなりエグみのある声もいただいていますよ。一番答えに窮したのが「DXってやるだけ損しますよね」という言葉でした。公務員って「言い出しっぺが全部やる」みたいなところがあって、みんなが楽になったとしても、その人の頑張りは給料にもほぼ反映されない。正直、返す言葉がありませんでした。

 DXに熱心な職員ほど抵抗勢力にぶつかって心が折れ、「変革に期待できないから」と辞めていく。頻繁な人事異動で熱量が引き継げないこともありますし、ある自治体ではデジタル推進派の市長が交代し、デジタルという言葉すら聞かなくなってしまったという話もあります。自治体DXの現場では、「築城3年、落城3日」が日常茶飯事です。

 都城市もうまくいかないことはありますが、やりきれるのは市長の期待があるからです。市長は市民の信任を得ているので、その期待に応えることは、市民の期待に応えることと同じ。それがいつも心の支えになっています。

画像を説明するテキストなくても可
都城市 総合政策部 デジタル統括課 佐藤泰格氏

利用者目線で考える行動経済学に基づいた、広報戦略

──佐藤さんがDX推進に携わるようになったきっかけは?

 私はもともとデジタルとは無縁で、窓口、財政、税とキャリアを重ね、東日本大震災では気仙沼市に2年間派遣され、公営住宅を建てるなどのため、土地買収をやっていました。戻ってから行政改革担当になったんですが、当時の行革は人件費削減が中心。削り続けると、今度は人手不足に陥ります。少ない人員で行政サービスを維持・向上させるにはどうしたらいいのか、その答えを探していたんです。

 そんな中、マイナンバー制度が始まりました。スマホの機種変更がショップからネットに移ったように、行政サービスもオンラインに向かうのは必然。その核になるのがマイナンバーカードだと確信し、普及に力を入れることになりました。それが、デジタルに本腰を入れたきっかけです。

──2023年4月にはマイナンバーカード普及率95%で全国トップとなった都城市ですが、どうやって普及させたんですか?

 最初は「都城方式」と呼ばれる取り組みを始めました。窓口にタブレットを備え、職員が住民の顔写真を撮り、その場で申請をサポートするというシンプルなもので、申請のハードルを下げるアプローチです。このやり方を全国で一番最初に始めたのが都城市なんですが、当時は「自治体がそこまでする必要があるのか」「写真館への民業圧迫じゃないか」と他の自治体職員から言われたりもして。でも、スマホがあれば自分で撮って申請できるのに、スマホを持っていない人はお金を出して写真館に行かないといけないって、それは本当に公平なのかという疑問もあって、始めました。

 ただ、それでも取得しない人はいます。未取得者の属性を分析すると、平日忙しい会社勤めの方が多かったので、企業への出張申請支援も始めました。それが一段落すると、残すは一人暮らしの高齢者。そこで申請補助用の専用車「マイナちゃんカー」で一人からでもご自宅に伺う取り組みを始めたんです。

 このときは、広報も工夫しました。「一人からでも大丈夫」と書くと、「一人から“でも”か」と遠慮してしまう高齢者がいるかもしれない。私は出張先で一人で夕ご飯を食べるとき、「おひとり様大歓迎!」と書いてあるお店には入りやすいんですよ。だからそういうフレーズにしました。強制やインセンティブに頼らず、人が自然により良い選択をするよう設計する、行動経済学のナッジ理論を広報に取り入れています。

──様々な市民がいるからこそ、一律のメッセージを出す印象だったんですが、行動経済学を取り入れているとは驚きました。

 自治体って広報が苦手で、繰り返し同じメッセージを出し続けてしまいがちなんです。でも反応のない広報は、時間と費用のムダでしかない。どうせやるなら、きちんと届く設計をしようと。

 たとえば、役所から届いた封筒って開かない方も多いですよね。だから、マイナポイントをまだ受け取っていない住民への案内状は、封筒を黄色にして赤い文字で「2万5000円分損をしてしまう可能性がございます」と書いたんです。

──それは開きますね(笑)。

 開封率は非常に良かったです。ただ、1~2件お叱りも来ましたが……。でもクレームが来るということは読んでいただけた証拠だと受け止めました。そのほか、届ける相手とタイミングも意識しました。中高校生には夏休み期間、高齢者には子どもが帰省するであろうお盆や年末に案内を送るなど、誰に、いつ届けるかを考えながら打ち分けています。

──完全にマーケティングですね。

 利用者目線で情報へのアクセシビリティを高めることも大事です。たとえば都城市では、「都城市 コンビニ交付」と検索する人は既にコンビニで証明書が取得できることを知っているのでアプローチの対象外と考えています。アプローチしたいのは「都城市 住民票」と検索した人。その人がたどり着いたページの目立つところにコンビニ交付の情報があることが大事。これができていない自治体が多くて、ページに記載がなかったり、一番下にひっそり書いてあったりするんです。

 料金も、単に「200円」と書いても安さが伝わらないので「半額以下」と掲載しています。さらに、ディーラーで車を買うときは印鑑登録証明書、銀行でローンを組むときは課税証明書が必要になりますが、そのタイミングで民間の窓口からコンビニ交付を案内していただけるよう連携もしています。利用者がどう考え、どういう動線で来るか、それをとことん追求することが、都城市の広報の核にあります。

次のページ
誰のためのデジタル化? 職員もWin-Winになる施策を

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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