第一ライフグループCIO兼CDOはなぜインドに注目したのか?登用と育成の両輪で動かす“人のIT戦略”
「距離があっても機能する」グローバルIT組織のつくり方とは
GCCを「直営」拠点に──IT先進企業がインドに注目する理由
第一ライフグループのGCCは、従来の単なるアウトソーシングやオフショア拠点とは異なり、同グループの一部として自社の文化と戦略を共有する「直営の能力拠点」という位置づけだ。バーナム氏はGCCの変遷を歴史的に分析し、30年前の単純な人件費の差を求めた「コスト裁定」の時代から、特定の作業を委託するBPOの時代を経て、現在は拠点側が専門知識やイノベーションを主導する「ケイパビリティ」の時代へと進化していることを指摘する。
フランスのIT大手企業であり、第一ライフグループと連携してインドのGCC設立に携わったキャップジェミニ APACの副CEO 殿村真一氏は、多くのテクノロジー企業がインドに注目していることを強調する。「インドでは毎年200万人以上のSTEM(科学・技術・工学・数学)分野の学生が卒業し、既に1,800ものGCCが世界中のグローバル企業の最先端ナレッジを蓄積している。インドはもはや安い労働力の供給源ではない」として、世界で最も洗練されたITの標準化が進行している“知の集積地”であることを示唆した。第一ライフグループはこのインドのエコシステムに直接アクセスすることで、自社のIT能力をグローバル水準へと引き上げる狙いだ。
こうした人材戦略を土台として、バーナム氏は第一ライフグループを「AI指向型(AI-Oriented)企業」に進化させることを掲げる。「AIがレガシーシステムで使われている言語やプログラムを理解できるため、AIを活用することで若い人材でもレガシーテクノロジーにアクセスし、近代化することができる」と同氏。AIによって、最新のスキルをもつ若手が中核システムの改善に携わるハードルが下がり、結果としてコスト削減と効率化、そして顧客体験の向上につながるというわけだ。
「距離をハンデにしない」グローバル技術チームの文化醸成法
バーナム氏はGCC戦略において「人数を増やすことはKPIではない」と述べる。AIの進化によって、かつては数千人を必要としたプロジェクトが、今やはるかに少ない人数で、より高品質に遂行可能になっているからだ。「重要視すべきは、どれだけ早く価値を顧客に提供できるかという“アウトプットの質”だ」と強調した。
第一ライフグループの子会社である豪 TALでPlatform Delivery & EngineeringのGMを務めるSajeewa Arachchillage氏は、ソフトウェア開発チームにおいて、拠点が離れた多国籍なチームを成功させる要素に「チームスポーツとしての文化醸成」を挙げる。自社のエンジニアが各グローバル拠点に点在していても同じ一つのチームとして機能しなければならない。タイムゾーンの違いを逆手に取り、24時間体制で開発を回すためには、互いの文化を尊重した人間関係の構築が不可欠である。
このような人間関係の構築を促進すべく、同グループでは「ハイブリッドチーム」の組成を推進している。特定の機能を一つの拠点に固めるのではなく、多国籍な混合チームを作ることで、異なる視点やアイデアを融合させるものだ。
また、教育プログラムの共通化も重要な役割を果たしている。一例としてバーナム氏が紹介した「Dai-ichi Innovation Programme(DINO)」に関する8ヵ月間のトレーニングコースには、世界10市場から選抜されたスタッフが集まり、多様な文化背景や言語を持つ人々が協力してプログラムに取り組んでいるという。
この記事は参考になりましたか?
- EnterpriseZine Press連載記事一覧
-
- 第一ライフグループCIO兼CDOはなぜインドに注目したのか?登用と育成の両輪で動かす“人の...
- Copilot全社導入に向け800台のAI PCを導入 安定運用を目指すトヨタ・コニック・...
- IVI、日本発の製造業PLM標準「Lean PLM」技術仕様を公開──23社が7,000件...
- この記事の著者
-
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
